[fpr 1823] 一網打尽

南風原朝和

南風原です。

TOYODA Hideki さんからの引用:

>>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>>                   ランダム割付あり  ランダム割付なし
>>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>>ランダムサンプル       タイプA           タイプB
>>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>>便宜的なサンプル       タイプC           タイプD
>>−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
>
>タイプAとタイプCは,心理学実験において実際上ほとんどない
>という立場を取るべきであると思います.

上の表の「便宜的なサンプル」は,たとえば自分の担当している
心理学のクラスを対象にしたり,学生がサークルなどを通して被
験者を集めたりする場合をさしています。心理学の研究では,調
査(相関)研究でも実験研究でも,このような形で被験者集団が
作られていることが多いというのが私の現状認識です。

上の表は意図的に単純なものにしましたが,「ランダムサンプル」
といっても,たとえば東大の学生の生活実態調査をするときに,
全数調査ではなく学生番号をランダムに選んで対象者を決めると
いうように,かなり限られた母集団を考えるケースから,全国の
有権者を母集団とするケースまで,その規模はさまざまです。当
然,統計的に一般化できる範囲も,それに応じて限定されてきま
す。

また,「ランダム割付あり」も「完全無作為」だけでなく,たと
えば既有知識によって被験者をブロックに分けたうえで,各ブロ
ック内で被験者を条件にランダムに割り付けるというケースも含
んでいます。そうした具体的なデザインによって誤差の大きさも
変わってきます。


>ランダム割付だけを特別にbetterだといっては,いけません.

better than what? ということが問題だと思います。私は「ごく
初歩」の話をしているつもりです。たとえば,ある統計法を教え
るのに,「数理的モデルから統計ソフト」という順で教えるのと
「統計ソフトから数理的モデル」という順で教えるのとで,ある
テストで測られる理解度に関してどちらがより有効か,というテ
ーマで研究をするとします。自分の担当する100人の学生をそ
れぞれの方法で教える2つのクラスに分けることまでは決まって
いるとします。このとき,ランダムに割り付けるのか,それとも
学生の希望で好きなクラスを選ばせるのか,効果の評価のために
はどちらがベターか,というような問題を想定して話をしていま
した。この例の場合,自由に希望で選ばせた上で効果評価をしよ
うとすると,さまざまな交絡変数の影響が問題になってきます。
この場合は,ランダムに割り付けるほうが,これら交絡変数の影
響を除去するという点ではベターでしょう,ということです。「
ランダム割付」という操作自体の意義というのはそういうことだ
と思います。


> 小生の現在の研究的関心は,実験データの共分散構造分析です.

実験データはランダムサンプルではないことが多いのに,実験デ
ータの共分散構造分析では,母数の最尤推定や検定のためにデー
タが正規母集団からのランダムサンプルであるという仮定が必要
になりますよね。

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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp  Tel/Fax:03-5841-3920
東京大学大学院教育学研究科 (〒113-0033 文京区本郷 7-3-1)


  

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