堀@香川大学経済学部です。 複数の案件についてまとめて載せます。 (1)前回載せわすれたのですが,Simon の享年は84歳でした。 (2)delphi の件,岡本さんのprogram でチェックしました。 例えば,F分布の場合。 procedure TForm1.OKButtonClick のbegin の後に Set8087CW($1332); を入れ,精度 1.0E-17のままでも瞬時に収束しました。 (3)村上宣寛・村上千恵子『主要5因子性格検査ハンドブック−性格測定の基礎から主要5 因子の世界へ』学芸書房, 2001 (http://psycho01.edu.toyama-u.ac.jp/ に目次とデモプログラムがある) は尺度をつくる人に大いに参考になるいい本です。それにしてお気持ちよく批判しきって ますね。 特に,因子分析についてと,信頼性,妥当性の部分が参考になるでしょう。 因子分析の直交回転と斜交回転についてもいっていて,日本の性格検査が斜交回転で因子 を求めていることについて厳しい批判があります。たしかに,下位尺度でもないはずなの に,なんで斜交度がこんなに高いのかという疑問がありましたが,見事に見切ってます ね。 相変わらず,他の性格検査を厳しくチェックしてます。 「はじめに」はインターネットで読むことができます。 http://psycho01.edu.toyama-u.ac.jp/bigfivehandbook_hajimeni.html ここに性格特性の斜交解についてコメントがあります。しかし,本格的批判は本文参照。 (4)実験の妥当性の論文 Albright and Malloy(2000).Experimental Validity: Brunswik, Campbell, Cronbach, and Enduring Issues ,Review of General Psychology, Vol. 4, No. 4, http://www.apa.org/journals/gpr/1200ab.html#2 (すでに次の号がでているのにまだ要約を見ることができる) Brunswik, Campbell,Cronbach の3人3様の妥当性の考え方を整理している。 Brunswik は生態学妥当性です。でも認知心理学でいわれているような生態学的妥当性と ちょっとちがいますね。英語版の心理学研究法の本何冊か見たのですが,生態学的妥当性 についていっていてもBrunswik に言及している本はありませんでした。 レンズモデル(確率機能主義)→生態学的妥当性→共変の重視 ということになるのか。 訳本(1974)では生態学的妥当性にはそれほどくわしくなく,Brunswick,E. (1956)を読まな いといけないようです。 重視する妥当性 重要な処理法(ていっていいのか) Brunswik 生態学的妥当性 構造多変量系→SEM Campbell 内部妥当性 MTMM(多特性多方法行列) Cronbach 外部妥当性 分散成分分析(Variance component analysis) (Campbellの意味で) Campbel の内部妥当性の考え方の変遷がわかっておもしろい。特にCronbachとのやりと り。 だけど,最初の方は読んでいて退屈。おそらく多くの方はこの方面の思考になれていない とおもうので参考になるでしょう。わたしも参考になりました。 なお,湯浅さんの頁に 臨床研究とランダム抽出・ランダム割付け:EBMを実践するための一般化の可能性について http://homepage1.nifty.com/YUASA/yuasa/randomization.htm というのがありますね。 この中で一つ気になったのが メタ分析の「出版バイアス」の件ですが,バイアスを修正もしくは発見する方法が提案さ れてます。 stata にプログラムがあります。言及している論文を下に挙げておきます。読んでいませ ん。というか集めてもいません。 長谷川さんの連載でも実験の妥当性問題をシコシコと論じられてます。 象牙の塔とアクション・リサーチ 2001年2月18日から http://www.wafu.ne.jp/~hasep/_1/02/index_102.htm 次のところあたりから特に関連する 象牙の塔とアクション・リサーチ(6)実験的方法は日常生活場面から始まった http://www.wafu.ne.jp/~hasep/_1/02/23.htm ブルンスヴィック,E.(船津孝行訳)(1974)『心理学の枠組み』誠信書房 Brunswick,E. (1956). Perception and the representative design of psychological experiments(2nd ed.).University of California Press (5)ところで,以前に紹介した Leland Wilkinson and Task Force on Statistical Inference Statistical Methods in Psychology Journals: Guidelines and Explanations American Psychologist がAPAのホームページに公開されてます。 http://www.apa.org/journals/amp/amp548594.html この論文で取り上げられていないものを中心にコメントが American Psychologist August 2000, Volume 55, Number 8 のコメントのところにあります。 個々の論文のタイトルは http://www.apa.org/journals/amp/800tc.html の下の方の Comment以下を見てください。 改めて引用文献を見るとあっと驚く文献が引用されていた。もしかしたら続報あり。 Psychological Method にのったTukey の論文と絡む。 《Bias in meta-analysis》関係 Duval, S. and R. Tweedie. 2000. A nonparametric "trim and fill" method of accounting for publication bias in meta-analysis. Journal of the American Statistical Association 95(449): 89-98. Begg and Mazumdar.(1994) Operating characteristics of a rank correlation test for publication bias. Biometrics, 50, 1088-1101. Egger et al.(1997). Bias in meta-analysis detected by a simple, graphical test. British Medical Journal, 315, 629-634. ---- 堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail: hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ 電話番号 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室) 〒760-8523(これで香川大学経済学部) 香川県高松市幸町2−1 香川大学経済学部
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