[fpr 1985] ブランドの順位付け

岡本安晴


 岡本@日本女子大学です。

>ようこそ東京へ,近くなりましたのでこれからも宜しくお願いします.

 こちらこそ、よろしくお願いします。20年ほど昔、金沢に赴任したとき、
「関東は議論の厳しいところだよ。」というような意味のことを言われた
ことがあります。一歩足を踏み入れると四方八方から論戦の攻撃を受ける
というような感じのお話でした。なぜそのようなことをおしゃったのか、
意図は不明です。しかし、来てみると、皆さん朗らかで親切で、暮らしやすい
ところという印象です。
 お互いに刺激し合うことは必要なことですが。

 さて、「[fpr 1982] Re: ブランドの順位付け」について、ちょっと
納得できないところがあります。

>つまり,ブランドを商店にたとえて「ブランドパワー=間口×奥行き」
>なのです.ここで「間口」とは,無作為抽出した個人がそのブランドを
>知っている確率の関数であり,「奥行き」はそのブランドを知っている個人の
>平均的な「ロイヤリティ・好印象」です.前者は物理変数ですが,後者
>は構成概念です.

 「個人がそのブランドを知っている確率」は個人差を確率という
形で平均化したものです。<「奥行き」はそのブランドを知っている個人の
平均的な「ロイヤリティ・好印象」です.>は「平均的な」とあるので
勿論個人差が平均化されています。
 私が「[fpr 1981] ブランドの順位付け」で問題提起したときは、
具体的には展開法における個人個人に対する理想点とか、ベクトルモデル
における個人を表すベクトルなどを念頭に置いていました。具体的モデルを
想定しない方がよいとき、あるいはモデルを具体化できないので先ずデータの
様子をみるというようなときは双対尺度法のような分析法がよいと思います。
 ブランドも、社会的平均値としての順位は勿論想定可能ですが、ブランドの
評価内容は人により異なる、好きなブランドも人それぞれでありうると
考える方がよいのではと思っています。

>つまり,ブランドを商店にたとえて「ブランドパワー=間口×奥行き」
>なのです.・・・
>・・・
>・・・ただし片平流のこの因果モデルが実現されているかと
>いうと,現段階の調査法ではちょと心細い.

 因果モデルを「ブランドパワー=間口×奥行き」の形で設定するのは、
構造方程式に制約されていると思いますし、因果モデルだけがデータ分析に
おいて有用な分析法であるとは思いません。


日本女子大学心理学科
岡本安晴



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