堀@香川大学経済学部です。 [fpr 2011] の追伸です。 Keizo Hori wrote on Mon, 25 Jun 2001 22:47:10 +0900 > (3)そういう意味では、前に指摘した > >佐伯胖・松原望編『実践としての統計学』東京大学出版会, 2000 > >2章 データを読む 相関分析,主成分分析,因子分析の意味をさぐる > >特にp87-p95 > > のp98-100 であるが、 > > さらにこの分析は、因子分析の視点からするとまったく奇異なものである。1項目しかな いものが独 > 立の因子として認められるのか。探索的因子分析では一項目が加わってその項目が独立の 一因子とな > るとはね。主成分分析だからでるものである。 追加するとここで全く違った因子がでるのは主成分分析だからだ。われわれは因子分析につ いてはわりとわかっているのだが、主成分分析がどのようなことを起こすのかよくわかって いない。 一主成分当たりの変数の数が多いとき回転した解は因子分析とほぼ同じになる。ではどの程 度変数が必要なのか。 去年のワークショップにおいて質問がでていたが、次のところに私の回答をだしている。 (1)いくつくらいの変数の数で因子分析と主成分分析が同じと言えますか? http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/spss/pwork.html#1 もとろんアバウトであるが、0.5程度の平均共通性で7〜35である。7は許容負荷量の差 を0.05とした場合、35は許容負荷量の差を0.01にした場合である。平均共通性が高いほど 変数の数は少なくて済む。これは単純構造であることを前提にしている。 理論的にこの問題を責めているのは、 Bentler, P. M. and Kano, Y. (1990). On the equivalence of factors and components. Multivariate Behavioral Research, Vol.25, 67-74. http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/research/paper/abstract.html#10 この問題は、主成分分析だと負荷量が大きくなるということの裏。 負荷量が大きくなるの 昨年のワークショップのスライド http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/spss/pwork/psy2000.ppt p15にまとめそれまでのスライドを参照。 (2)佐伯氏の指摘は主成分分析(回転しない本来のもの)の性質を攻めたものといえるだろ う。 主成分としてでてくるものはなに。関連があるから主成分になるの。 答えは関連してなくても同一の主成分になります。分散を最大化するのは関連するものをま とめることにはならない。 昨年のワークショップのスライド http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/spss/pwork/psy2000.ppt 22-25ページ p25 >一般因子がある場合,主成分分析(回転をしない本来のもの)は,意味もなく,2つの因 >子をひっつける。これは単に分散を最大化するためのもの。 >だから,解釈する意味はないと考えたほうがいい。 >実際にはいろんな複雑な関係があるから,解釈したくなる。 >意味づけできるものでも分散最大化の人工的なものと押さえる。 というあたりをよ〜く味わってください。 主成分分析は簡単に理解している人が多いでしょう。わたしもそうでした。しかしいろいろ 人工データを使って実験してみると、その意味合いを理解できます。因子分析の場合も是非 人工データで実験してみましょう。 それと、注意すべき点は主成分得点ですね。主成分得点は前の主成分をpartial out したも のなので、単純な理解は問題があります。これは1996年のワークショップの服部さんの話で す。 http://www.nuis.ac.jp/~mat/fpr/workshop96.html ま、生のデータだけでは主成分分析や因子分析の理解は進みません。その意味では佐伯氏の 人工データは考慮すべき重要な点を含んでいます。しかし、因子分析ではありません。 ---- 堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail: hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ 電話番号 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室) 〒760-8523(これで香川大学経済学部) 香川県高松市幸町2−1 香川大学経済学部
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