[fpr 2058] 多母集団同時分析過程で生じる不適解の解釈

豊田秀樹

豊田です

kazuhiroha (at) mail.goo.ne.jp さんは書きました:
>原田和宏@広島大学大学院生です。
>については,ちなみに適合度は,
>モデル番号1:AIC=1827.4, GFI=.958, RMSEA=.052
>モデル番号2:AIC=1895.8, GFI=.956, RMSEA=.051
>モデル番号3:AIC=1906.8, GFI=.956, RMSEA=.050
>モデル番号4:AIC=2404.9, GFI=.948, RMSEA=.054
>モデル番号5:AIC=2629.4, GFI=.945, RMSEA=.056
>モデル番号6:AIC=2665.2, GFI=.945, RMSEA=.056
>です。
>豊田先生よりいただきました。
>モデル番号1の第2次因子負荷量は,
>A群−6,800ケース: Estimate   S.E.    C.R.   Standardized
> F0 ----->F1         1.000                       0.549
> F0 ----->F2         0.725    0.044  16.342      0.748
> F0 ----->F3         0.850    0.049  17.512      0.772
>
>B群−700ケース:   Estimate   S.E.    C.R.   Standardized
> F0 ----->F1         1.000                       0.555
> F0 ----->F2         1.364    0.244   5.595      0.883
> F0 ----->F3         0.922    0.207   4.448      0.780
>です。不適解が生じるF0 ----->F3は似ているのかなという印象ですが,
>F0 ----->F2は似ていない気がします。
>ということは,構造は両群で似て非なるものと解釈すべきでしょうか?



(あ)たとえば
「A群とB群が,一般群・患者群で,最終的には同一の構成概念
f0,f1,f2,f3の平均や分散の違いに興味があって,その事を利用
して患者群の特徴を浮き彫りにしたい.つまり最終目標は平均
・共分散構造分析にある.しかしそもそも一般群・患者群で同
じ構成概念(尺度)を仮定できるのか?だからとりあえずモデ
ル1から6を計算した」という研究状況なら
>モデル番号6:GFI=.945, RMSEA=.056
というところから,モデル番号6を採って,構成概念の平均や分
散の違いをA群とB群間で比較するモデルに進んでよいと思いま
す.絶対基準は悪くないのですから,その選択は許容されます.
ただし患者群は標本が少ないから,モデル番号6でも解は一般群
に引き寄せられるので,その枠組みでの比較になります.

(い)一方たとえば「A群とB群が,一般群・患者群で,f0,f1,
f2,f3の意味・相互関係の違いの有無に興味がある.一般群では
f0からf1,f3への影響力よりf2への影響力が小さいけれど,患者
群ではその逆になることが,病気の成り立ちを考える上で重要
な解釈を引き出す」ような場合にはモデル番号6をとらずに,あ
るいは2から5までの既成のモデルではなく,もっと木目細かく
それらの中間のモデルを作って「最適モデルを探す」ことに
精力を使うとよいと思います.

つまり患者さんは人数が少ないので,一般群の枠組みで,同じ
スケール上で比較したほうが,学術的に得るものが多いか(
(あ)の立場),あるいはスケールの違いを丁寧に記述したほ
うが学術的に得るものが多いか((い)の立場)で判断が変わ
ってきます.

上記の数値例の場合は(あ)(い)どちらの方向でモデル構成を
しても許される微妙な状況であるとおもいます.

しかし,そもそも(あ)も(い)も,私が勝手に原田さんのデー
タの状況を想像したもので,実状とは違う可能性も高いですね.
じゃあ,なぜ勝手な想像をしたのかというと,因果モデルは,何
の為に作るのかという文脈に依存する部分が多ということを,言
いたかったからです.もちろん数理的な指標から導かれる大枠か
ら外れたことをしては許されないのですが,その範囲で,研究目
的に左右される判断というものも,意外と多いのです.ですから,
これ以上は,アドバイスは難しいかなという気もしてきました.

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 TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                Department of Psychology
 TEL +81-3-5286-3567             School of Lieterature, Waseda University
 toyoda (at) mn.waseda.ac.jp  1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
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