堀@香川大学経済学部です。 性格の相関研究はだんだん進化してますね。 コンピュータが普及する以前は因子分析等つかわないレベルも多かったし、日本ではコン ピュータが普及した後でも勝手に性格尺度を作っている例もある。 因子分析(もしくは主成分分析)を使った尺度が群雄割拠していた時代。 性格特性なんか役に立たないよという指摘。 その後のBig5。このお陰である程度の性格特性の統一理論ができたといってよい。なぜ完全に 一致しないかは理論的考察がある。 因子分析的には一致させるためプロクラテス法を用いる。 など、帰納法から次のステップに踏み出した。 そうこうしているうちに、個々の因子を研究し出した。その中で SEM が重要な役割を果たすよ うになっている。 外向性に関して 例えば、John and Benet-Martinez (2000)はSEM を使って、衝動性と外向性の尺度を分析して いる。私は衝動性がBig5 においてうまくとらえられていないのではないかという不満をもって いたので実に興味ある論文だった。アイゼンクの性格検査でも最新版では衝動性の位置づけが 以前と変わっている。日本語版は古いままだ。彼らは、衝動性と外向性それぞれの因子分析か ら2因子解をとり、それぞれSEMにおいて衝動性の2因子の相関、外向性の2因子の相関が0.8, 0.2とした場合のどちらが適合度が高いか調べた。単に相関を見ただけでもいいような気もする が、適合度でチェックしている。結果として衝動性は0.2のほうがよく2因子、外向性は0.8の ほうがよく1因子とした。 Lucas et al.(2000) の論文はインターネットでも読むことが出来る。新しい仮説に基づく検証 である。し,しかしこのデータを探索的に分析してみるとWatson and Clark(1997)のpositive emotion を上位にする考えもなかなかいいものだったりして。 斜交回転では4因子できれいにまとまり,pleasant affect とascendance が同一因子になりま す。 因子間相関は pleasant affect を入れた場合(アメリカ人) 1 2 3(-) 4 1ascendance 1.00 -0.03 -0.55 0.28 2social interraction -0.03 1.00 0.04 0.39 3affiliation(-) -0.55 0.04 1.00 0.00 4venturesome 0.28 0.39 0.00 1.00 positive emotion を除いた場合(アメリカ人) 1 2 3 4(-) 1ascendance 1.00 0.08 0.37 -0.44 2social interraction 0.08 1.00 0.35 -0.01 3venturesome 0.37 0.35 1.00 -0.07 4affiliation(-) -0.44 -0.01 -0.07 1.00 http://www.apa.org/journals/psp/S_psp793452fig1a.jpg の下の図(B)のように social interaction を外向性からはずすのはよさそうですが,pleasant affect と外向性を結 びつけるか中にいれるかどうかはちょっとまったがかかりそうです。 いろんな研究から確定させていく必要がありそうです。しかし,報酬感受性は外向性のほうが 高かったのですか。Eysenckらのほうでは内向性のほうが条件付けられやすいとなっていたから 報酬感受性も内向のほうかと思っていた。外向性は単なる刺激追求でなかったのか。 外向性と衝動性の関係はなんとなく結論がでそうですね。 こういう風に相関行列を示してくれると別の分析ができていいですね。相関行列型の特にSEMは 仮説があざとすぎるのではないかと思われる場合もある。是非日本でも相関行列を載せて欲し いです。 John, O. R. and Benet-Martinez, V. (2000). Measurement: Reliablity, construct validation, and scale construction. In H. T. Reis and C. M. Judd (eds.), Handbook of research methods in social and personality psychology(pp.339-369). Cambridge University Press. Lucas, R. E., Diener, E., Grob, A., Suh, E. M., and Shao, L. (2000). Cross-cultural eidence for the fundamental features of extraversion. Journal of Personality and Social Psychology, Vol. 79, No. 3, 452-468 http://www.apa.org/journals/psp/psp793452.html Watson, D. & Clark, L. A. (1997). Extraversion and its positive emotional core.(In R. Hogan, J. Johnson, & S. Briggs (Eds.), Handbook of personality psychology (pp.767-793). San Diego, CA: Academic Press.) ---- 堀 啓造(香川大学経済学部)e-mail: hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ 電話番号 087-832-1894(直通) fax 087-832-1820(事務室) 〒760-8523(これで香川大学経済学部) 香川県高松市幸町2−1 香川大学経済学部
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