[fpr 2090] 質的に違うタイプを析出させる

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

最近ときどき見かけるようになっている。変な(?)方法がある。Multivariate 
taxometric proceuderes という本にまとめられている, taxonometric という方法で
ある。

一つの指標では2峰分布にならないのだけど,複数の指標を併せると2峰分布である
ことがわかる。そこから,精神分裂病のようにそうであるかそうでないかのタイプに
分かれることを示そうというものである。なんとなく判別分析のようであるが,外的
指標はない。

Paul E. Meehl がながくこの問題にとりくんでいて,最近その手法がだんだん確率さ
れてきている。MAMBAC, MAXCOV, MAXSLOPE というような方法がまず開発されてい
る。この段階までの話は,Meehl 自身の論文よりも, Waller & Putnam(1996)のほう
がわかりやすい。

実際のイメージは
http://128.95.152.226/tb/cbs/taxometrics.htm
にある,MAMBAC の説明
http://128.95.152.226/tb/cbs/mambac.htm
とMAXCOVの説明
http://128.95.152.226/tb/cbs/maxcov.htm
の図解を見るとなんとなくわかる(statistica の図はいいですね)。その後,Waller 
& Putnam(1996)を読んでみる。Meehl(1995) はAmerican Psychologistに説明してい
るが,それに対するコメント,Miller(1996)がなかなかいい。バイナリデータだと,
(因子分析と同じく)反応率によって分布が左右されてしまってダメだということ。
すると,これをはやくから適応したセルフ・モニタリングの研究(Gagenstad and 
Snyder, 1985)は実証したことにはならない。

最近は因子分析でもtaxometric を実証できるよということを言っている(Waller & 
Meehl,1998)。1因子解を求め,バートレットの方法で因子得点を推定し,この因子
得点を度数分布のグラフを作る。そして2山になっていればtaxnomic タイプと判断
する。そして,それぞれの指標を作る。

おそらく,作業としてはWaller and Putnam(1996)の示しているように,MAMBACに
よってtaxonomic に関連する項目を探り出し,その項目を集めて因子分析することに
なるだろう。

インターネット上では
http://128.95.152.226/tb/cbs/taxometrics.htm
が簡略な説明としていいだろう。

The Taxometrics Home Page が
http://peabody.vanderbilt.edu/depts/psych_and_hd/faculty/wallern/tx.html
ある。
前者には簡略な文献紹介。後者には詳細な文献リストがある。
前者にはstatistica のマクロ,後者にはR のプログラムがある。

前者のマクロにコメントしたところ早速改良してくれた。その後またなにか改良下ら
しい。コメントして修正したのが8月その後の改訂が10月にあった。

こういう潜在因子の見方もあるのですね。他の技法との関係はよくわからないです
が,説明してもらえれば嬉しい。

ps. 内向−外向はここのいうtaxometricではなく,連続量になります。そういうこと
で原論文ではtype とはいいたくないのでしょう。

プロットして判断するところが素朴でいいな〜。

引用文献
Gangestad, S., & Snyder, M. (1985). To carve nature at its joints: On the 
existence of discrete classes in personality. Psychological Review, 92, 
317-349.

Meehl, P. E. (1995). Bootstraps taxometrics: Solving the classification 
problem in psychopathology. American Psychologist, 50, 266-275.

Miller, M. B. (1996). Limitations of Meehl's MAXCOV-HITMAX procedure.               
American Psychologist, 51, 554-556. 

Waller, N. G., & Meehl, P. E. (1998). Multivariate taxometric procedures:
Distinguishing types from continua. Newbury Park, CA: Sage.

Waller, N. G., & Putnam, F. W. (1996). Types of dissociation and 
dissociative types: A taxometric analysis of dissociative experiences. 
Psychological Methods, 1, 300-321.

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