<004201c17da6$6d3f6980$3e62e6d2 (at) A02qLoH9Nfq> の、 "[fpr 2114] はじめま" において、 ""Hiromi Matsumoto" <hrm-mt2 (at) mb.neweb.ne.jp>"さんは書きました: > 早速質問があるのですが、質問紙の結果でデータを高群と低群に分ける場合って、 > 正規分布の、平均から±0.5を省いた部分を使えばいいんですかねぇ。 > それとも±σを省くのでしょうか。 > 教えてください!! 岡本先生から詳細なフォローがありましたので私が出る幕ではないのですが、 http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/articles/1994/9407Hasegawa /9407Hasegawa.html の中で取り上げたことがりましたのであえて発言させていただきます。 その部分を以下に転載します。 2.2.8.数量データを無理やりカテゴリー分けする 独立変数や従属変数が連続変量であるにもかかわらず,それらを“上,中,下”群のよ うに分けて分析することをいう. たとえば,調査の段階で具体的な年齢を質問しているにもかかわらず,分析の段階では “30歳以上”群と“30歳未満”群に分けて各群の得点の差を検定したり頻度のχ2検定を したうえで,“○○については年齢による差が認められた”というように結論を下してい る発表を聞いたことがある.これとは別に,大学生に不安検査を行ない,不安得点に応じ て“高不安群”,“中不安群”,“低不安群”に分けて分析をしている発表を聞いたこと がある.これらの例は少なくとも3つの問題点を含んでいる.1つは2.2.7にも述べたよう に,事後的に作為的なカテゴリー分けが行なわれる可能性があること,第2に,連続変量 がもつ種々の貴重な情報をわざわざ捨てていることである.第3は,むしろ結果の解釈に かかわることであるが,χ2検定の結果だけから,もともとの連続変量と従属変数とのあ いだに量的な相関があるというように判断を下す危険がある点である.たとえば上の例で “年齢による差”とは単に30歳以上と未満の差を示しているにすぎないが,これがいつの 間にか“年齢が高いほど○○の傾向がある”という考察にすりかわってしまう恐れに注意 しなければならない.なお,不安検査の例についてはもうひとつ,“高不安群”とか“低 不安群”とか言ってもあくまで健常者のデータの中での高低であって,病的な不安や異常 行動の解明にはつながらない点に留意しておく必要がある. 橘(1986)は,“自分の知っている検定法にむりやり押し込める(p.107)”ことが,こう した傾向の一因であろうと指摘している.“何でもかんでも平均”,“何でもかんでもt 検定”,“何でもかんでも相関係数”,あるいは今回はとりあげていないが“何でもかん でも分散分析”,“何でもかんでもχ2検定”という傾向も,すべて統計解析についての 勉強不足に起因することが多いように思う. _____________________________________________________________ Y.Hasegawa/長谷川芳典 岡山大学文学部心理学教室 hasegawa (at) cc.okayama-u.ac.jp http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html http://www4.justnet.ne.jp/~hasep/WELCOM.HTM _____________________________________________________________ Y.Hasegawa/長谷川芳典 岡山大学文学部心理学教室 hasegawa (at) cc.okayama-u.ac.jp http://www.okayama-u.ac.jp/user/le/psycho/member/hase/h0u.html http://www4.justnet.ne.jp/~hasep/WELCOM.HTM
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