[fpr 2202] 『多変量解析実例ハンドブック』(2002/6

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

柳井晴夫・岡太彬訓・繁桝算男・高木廣文・岩崎 学編 
『多変量解析実例ハンドブック』朝倉書店 \30,000  920頁

朝倉書店の紹介は
http://www.asakura.co.jp/cgi-bin/ncommerce3/ExecMacro/asakura/FR
AMES_PROD.d2w/report?w_prrfnbr=43850

高価格なので個人で買うような本とはいえない。しかし,買ってしまっ
た。

事例集なので,おそらく自分の研究と絡めてなにか参考にならないかと読
むものだろう。

全73章。工学,建築学・土木工学・交通工学,生物学・農学・人類学,
医学・歯学,看護学・公衆衛生学,体育学・スポーツ学,経済学・経営
学,政治学・社会学,心理学,言語学・計量文献学,家政学・文化人類学
と多様な分野の論文がある。最後の章は柳井氏の展望である。

はじめにによると手法は多い順に
主成分分析(17),
因子分析(14),
(重)回帰分析(13),
クラスター分析(12),
数量化3類(双対尺度法,対応分析を含む)(9),
多次元尺度(構成)法(indscal,alscalを含む)(8),
共分散構造分析(8),
判別分析・正準判別分析(5),
ロジスティックモデル(4)
などとなる。複数の手法を用いてる論文もある。
また,村上隆氏や大津起夫氏や西里静彦氏などは自己の開発した手法の解
説をしている。

それにしてもまだ主成分分析が主流なのだろうか。もっともこの本では最
新の研究をあつめた訳ではない。安本美典氏(61章)のなつかしい文学・
言語の研究などある。大山正氏らのindscalを使った研究(57.色と形の類
似性知覚に対する多次元尺度法の適用)もこの研究が新しいのかどうかし
らないが,少なくともindscalを使った昔よくあった研究である。懐かし
いですね。alscalを使っているので新しい研究なのかな。alscalが使いや
すい形で公開されているのでこの手の研究はしやすくなってます。

村上氏の54章(共通重みを用いた3相データの主成分分析)では準3相分析
からこういう方向に発展していたのですね。軸の相関の群間比較をする
等,いろいろ比較の仕方が広がっている。SEMの場合,応用が利きすぎて
比較するポイントが絞りにくいがこのように特定の処理向けにしてあると
情報をきちんと見ることができるメリットがありますね。しかし,プログ
ラムは自分で書くことになるのだろうか? それはできそうにない。

大津氏の58章(尺度混在データのための主成分分析)はいろいろ経験知が
つまった章になっている。
http://wwwbs.let.hokudai.ac.jp/~otsu/doc/IsmRep86.pdf

http://wwwbs.let.hokudai.ac.jp/~otsu/osmod.html	

Windows 用プログラムをダウンロードして走らせてみたが,コントロール
ファイルの読み込みが途中までしかよまない。う〜ん。どうしてかな。

そういえば
徹底討論「主成分分析 vs 因子分析」日本行動計量学会第30回大会:多摩
大学 (2002/9/20)

というのがあるそうですね。
狩野さんのところ
http://koko15.hus.osaka-u.ac.jp/~kano/research/seminar/30BSJ/beh
avior02.html

に予稿集原稿があって,興味深く読みました。

コメントしたいところですが,時間があればそのうち。

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堀 啓造(香川大学経済学部)
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