堀@香川大学経済学部です。
例の本を読んでいたときに,「分散分析はrandomized test の近似
だ」という記述にであった。(頁がわからなくなったため記憶によ
る再生)
あれあれ,そういえばと
心理学研究の自己評価(1): 基礎的統計解析の誤用と対策
http://www.nuis.ac.jp/~mat/fpr/workshop94.html#tachibana
で話題提供者の持論だろう。と思って本を見た
橘 敏明(1997)『確率化テストの方法 誤用しない統計的検定』日本
文化科学社
にはっきり書いてますね。
本の主張を簡単にいってしまうと。
分散分析のような分布を前提にしているテストはランダムサンプリ
ングを前提にしている。ランダムサンプリングをしていないのに分
散分析をするのはおかしい。ランダムサンプリングをしていない
で,ランダム化をしている研究は確率化テスト(ramdomization
test)を使用すべし。分散分析は確率化テストに近似しているから
有効なだけで,分散分析が正しいわけではない。外れ値など考えれ
ば分散分析がはっきりと問題となるデータもある。
さらに,観測型研究の変数は疑似p値だとか。randomization でき
ない変数はすべて疑似p値。
このあたりの議論の尖ったところにあるので必読文献。しかも,わ
かりやすく書いてある。返す刀でpermutation test も切ってい
る。あらためて読んだが面白い本です。
この本のプログラムをfbasic で動かす方法は,
[fpr 798] Randomization Tests
http://www.nuis.ac.jp/~mat/fpr/fpr1997/0273.html
で書いた。そういえば使っていない。excel に移せば少しは使うか
な。
最近読んだ,読んでる本にこの問題(randomization)への言及が見
られるので興味深く思った。fprのBig3 がそれぞれ言及している。
南風原朝和(2002)『心理統計学の基礎』有斐閣 p123-124
この本は非常にいいです。もうすぐ読み終えます。
できれば別記事で紹介したい。
豊田秀樹(2002)『項目反応理論[事例編]』朝倉書店
これは買ったばっかり。最後の問答でもとりあげている。
狩野裕(印刷中)「構造方程式モデリング,因果推測,そして非正規
性」in 甘利俊一ほか著『統計科学のフロンティア第5巻 多変量
解析の展開−隠れた因果構造を推理する−』岩波書店
狩野さんのタイトルはびびらせるに十分なものですが,なかは平易
に書かれているし,数式は見たくないという人は最初の節と最後の
節だけ読んでも得るものは大きい。
橘氏の本をよんだ後の解毒剤としていい。
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堀 啓造(香川大学経済学部)
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