東京大学大学院生の山田康夫です。 自分ではなかなか行う機会のない、 カテゴリカル変数を用いた2次因子分析モデルの多母集団解析 というのが興味深かったので、少し考えてみました。 回答案(+私の質問)です。 >このとき、切片、閾値、尺度因子を等値に制約するということの意味が把握しきれま >せん。 とのことでしたが、制約を加えていったモデルの解釈は、 モデル2:第1次因子から各指標への因子負荷が集団間で等しく、 第1次因子の得点が等しいならば各指標の値は集団間で等しい。 モデル3:第2次因子から第1次因子への因子負荷が集団間で等しい。 モデル4:第2次因子の得点が等しいならば第1次因子の値が集団間で等しい。 モデル5:第2次因子を同じものさしで測ったときの分散が集団間で等しい。 のようになるのではないでしょうか。かなり大雑把かもしれませんが、、。 (質問中の「尺度因子」とはscale facteorのことですよね。 あまり日本語訳に出会ったことがないのでわからないのですが、 これが定訳なのでしょうか?) 平均構造を扱う(そして比較する)ために、 切片(順序変数の場合)、閾値(順序変数の場合)を 推定するモデルになっているということはよろしいでしょうか。 それで、考えていて知りたいな思ったことがあるのですが、 このようなSEMでの解析の手順、(等値制約だけでなく、パスの有無、 変数選択まで含めて)、モデリングの仕方、探索の手順やルール、ノウハウを 詳しく扱った文献などはあるのでしょうか。 どなたかご存知であれば、教えていただけると助かります。 (教科書などは、計画された(構造的にとられた?)データを SEMでいかにモデル化するかを解説していることが多いように思うのですが、 私は社会調査データなどを扱うことが多いので、どうすれば SEMを調査データの分析に生かすことができるのか、というところに関心があります。) Masahiko AIDA <aida (at) highway.ne.jp> wrote: > 東京大学大学院の相田です。 > > 例えば回帰分析の例でいえば、2つの母集団について > > y1 = b10+ b11x + b12x ... > y2 = b20+ b21x + b22x ... という分析をするとします。 > > Muthenが言うところのモデル1とは > 上記のモデルのパラメーター(beta)をすべて自由に推定することです。 > > モデル2は b10 = b20, b11 = b21, b12 = b22 という制約条件をおいてパラ > メータを推定すること。 > つまり、回帰係数というか因子負荷量が同じであるという仮定です。 > 切片とその他のbetaは切片にかかるxが常に1になるだけで同じものと考えてく > ださい。 > ここでラムダといっているのはSEMの表現をしているので係数の行列をラムダ > と > 言っているのでしょうけど、詳しく知りたければBollenのWileyからでている > SEMの本 > にのっています。 > > あと閾値というのは、順序ロジット分析など、順序尺度の回帰分析の教科書な > どに > 詳しくのっているはずですが、簡単に言うと順序変数といってもどこかに > 閾値を置いてそこを境に値の大小を判別するわけですけど、その閾値はMLEで > 尤度関数を最大化するように決められるのですけど今回は、その閾値を複数の > モデルで同じになるという制約条件を置いた上で閾値を決めるということです。 > つまり、2つのモデルの尺度の尺度の間隔が同じであるという仮定でしょう。 > > "Masafumi Kirino" <cax93600 (at) pop12.odn.ne.jp> wrote: > (2002/11/21 22:14) > > >桐野@岡山県立大学大学院生です。 > > > >現在、カテゴリカル変数を用いた多母集団の同時解析を行っています。 > >使用ソフトはM-plusです。 > >推定するモデルは二次因子モデルです。 > > > >M-plusのディスカッションコーナーでMuthen氏に尋ねたところ、 > >以下の手順で解析することを勧められました。 > > > >モデル1:等値制約無し > >モデル2:第一次因子負荷量ラムダと各指標の切片と閾値を等値制約 > >モデル3:上記の条件に加えて、ラムダと第二次因子負荷量ガンマを等値制約 > >モデル4:上記の条件に加えて、第一次因子の切片と閾値を等値制約 > >モデル5:上記の条件に加えて、第二次因子の尺度因子を等値制約 > > > >このとき、切片、閾値、尺度因子を等値に制約するということの意味が把握しきれま > >せん。 > >それぞれの用語の意味も含め、良いアドバイスをいただけたらと思います。 > >よろしくお願いいたします。 > > --- 山田康夫 yasuo-y (at) os.rim.or.jp 東京大学大学院人文社会系研究科 社会心理学専門分野 修士課程
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