岡本@日本女子大学です。 長谷川さんの問題提起 >順序尺度的な回答結果からどうして平均勉強時間が「換算」できるのか >理解できないのですが、あるいは、何らかの推定式が考案されているのでしょうか? を読んで記事を探しました。今日はちょっと忙しくて未だ新聞を読んでいなかったのです。 換算以上に記事のプリゼンテーションの方法に問題を感じました。日本が勉強時間が 最低とありますが、これは家での勉強時間のように思います。塾での勉強などが 忙しくて家での勉強時間がない、あるいは塾で勉強してきたので家での勉強は必要ない という可能性があると思うのですが、記事ではこの点の掘り下げが見当たりませんでした。 塾などに行っている時間は1週間で平均約4.5時間となっています。70%の子が塾などへ 行っていると書いてあります。この4.5時間が、塾に行っていない子の時間を0時間として 平均されていたとすると塾へ行っている子だけでの平均は、4.5時間/0.7=約6.5時間 となります。平均ですからかなりの時間を塾で過ごしている子もいることになります。 子供が以前通っていた学校では、塾に通う子のために学校からは十分な宿題が 出せないということもあったとか聞いています。また、その学校の系列では 塾で教えているからということで授業では教えてくれなかった内容もあったと 聞いています。子供は転校後、前の学校では塾で教えているからと習わなかったと苦労して いるようです。うちの子供は塾へは行っていないのです。その当時は、まさか学校での 授業が塾で習うことを前提としていたとは想像もしませんでした。 今回の記事については、家での勉強時間に塾などでの学校外での勉強・習い事の時間を 加えた場合の集計も欲しいところです。 調査方法についても、募集に応じた人たちから79%の回収率とあります。募集に 応じた人たちがどのような母集団を代表しているのかの説明が見当たりません。 回答者は小学校4年生から高校3年生まで9学年分で748人とありますから1学年当たり 80人ぐらいです。責任ある新聞社が公表するデータとしては人数だけ見ても不安です。 サンプルの母集団としては、朝日新聞とタウン紙での募集を行って後の748人ですから 何が母集団になっているのかは具体的な分析が欲しいところです。 長谷川さんの疑問に触発されて記事を読んでみるといろいろと問題を感じました。 日本女子大学心理学科 岡本安晴
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