成蹊大の岩崎です. fpr の皆様: 自分の守備範囲の話なので,ちょっとだけコメントを. > > 豊田秀樹さんの共分散構造分析の本(応用編)を読んで、 > >センサード変数において、平均と分散を補正して分析に > >組み入れるという方法に興味を持ちました。 > 豊田@早稲田です > > はじめまして,LISCONPとはちょっと原理が > 違いますが,PRELIS+LISRELで分析できます. 昨年,岩崎 学 (2002) 「不完全データの統計解析」(エコノミスト社)という書物 を上梓しました.その中で,不完全データ用のソフトウェアとして SOLAS,SAS の MI および MIANALYZE プロシジャ,SPSS/Missing Value Analysis などを紹介してい ます.これらは欠測(欠損)を含むデータの分析用のソフトウェアですが,欠測メカ ニズムとして「ランダムな欠測」(Missing At Random =MAR) を仮定しています. トービットやセンサード(打ち切り)データは,欠測メカニズムが「無視できない」 (nonignorable) ですので,上記のソフトウェアは原則として使えません.上記の私 の本の中では,multiple imputation や複雑な EM アルゴリズム以外のものの基本的 な計算はすべて EXCEL で行ない,その結果も詳しく書きました. 3月に行動計量学会の合宿セミナーでこの種の講義をしましたが,そこでの質問とし て欠測が無視できない場合のソフトウェアがありますかと聞かれ,「よく知りませ ん」とお答えしました.ですから,上記の豊田さんの情報は私にとっても大変に貴重 なものでした. 補足ですが,打ち切り (censoring) とトランケーション (truncation) がよく混同 されます.打ち切りは観測されるデータ区間 (a, b) の外に落ちたデータの個数の情 報がありますが,トランケーションではその個数の情報がありません.この区間外の 個数の情報はとても重要で,最尤推定の計算法も違ってきますし,推定値の精度も大 違いです.くれぐれも混同されないように. -------------------------------------------- 岩崎 学 (IWASAKI, Manabu) 成蹊大学工学部 経営・情報工学科 教授(統計学) 180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-3-1 TEL: 0422-37-3764, FAX: 0422-37-3871 URL: www.is.seikei.ac.jp/~iwasaki/ --------------------------------------------
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