[fpr 2359] センサード変数の補正をできる共分散構造分析のソフトについて

Manabu IWASAKI

成蹊大の岩崎です.

fpr の皆様:

自分の守備範囲の話なので,ちょっとだけコメントを.

> >  豊田秀樹さんの共分散構造分析の本(応用編)を読んで、
> >センサード変数において、平均と分散を補正して分析に
> >組み入れるという方法に興味を持ちました。

> 豊田@早稲田です
>
> はじめまして,LISCONPとはちょっと原理が
> 違いますが,PRELIS+LISRELで分析できます.

昨年,岩崎 学 (2002) 「不完全データの統計解析」(エコノミスト社)という書物
を上梓しました.その中で,不完全データ用のソフトウェアとして SOLAS,SAS の
MI および MIANALYZE プロシジャ,SPSS/Missing Value Analysis などを紹介してい
ます.これらは欠測(欠損)を含むデータの分析用のソフトウェアですが,欠測メカ
ニズムとして「ランダムな欠測」(Missing At Random =MAR) を仮定しています.

トービットやセンサード(打ち切り)データは,欠測メカニズムが「無視できない」
(nonignorable) ですので,上記のソフトウェアは原則として使えません.上記の私
の本の中では,multiple imputation や複雑な EM アルゴリズム以外のものの基本的
な計算はすべて EXCEL で行ない,その結果も詳しく書きました.

3月に行動計量学会の合宿セミナーでこの種の講義をしましたが,そこでの質問とし
て欠測が無視できない場合のソフトウェアがありますかと聞かれ,「よく知りませ
ん」とお答えしました.ですから,上記の豊田さんの情報は私にとっても大変に貴重
なものでした.

補足ですが,打ち切り (censoring) とトランケーション (truncation) がよく混同
されます.打ち切りは観測されるデータ区間 (a, b) の外に落ちたデータの個数の情
報がありますが,トランケーションではその個数の情報がありません.この区間外の
個数の情報はとても重要で,最尤推定の計算法も違ってきますし,推定値の精度も大
違いです.くれぐれも混同されないように.

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岩崎 学 (IWASAKI, Manabu)
成蹊大学工学部 経営・情報工学科 教授(統計学)
180-8633 東京都武蔵野市吉祥寺北町3-3-1
TEL: 0422-37-3764, FAX: 0422-37-3871
URL: www.is.seikei.ac.jp/~iwasaki/
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