ガウス生活心理研究所の佐藤俊雄と申します。 マーケティングの分野で調査(と呼ばれるモノ)を生業としておりますので、芳賀先 生の発言に触発されまして、コメントします。 我々が、普通行う「調査」で、要因統制が行われないケースはまずないかと思いま す。 試食や試飲を伴う調査では、調査素材、例えば飲料は、温度管理をして、どの対象者 にも同じ量をサーブします。 また、調査素材が複数ある場合、順序効果をうち消すべく、呈示順序をコントロール します。数が多い場合、それこそラテン方格、まさに実験計画法の助けを借りて、呈 示順序を割り付けます。また、質問紙による調査自体、同じ質問文という統制された 刺激に対する反応を見ていることになるのではないかと思います。調査屋の言葉では いわゆる「バイアスを避ける」という言い方で、調査で明らかにしたいこと以外の要 因が、調査で明らかにしたい要因に干渉することをさけるのがイロハとなっているか と思います。芳賀先生のおっしゃるように、より観察的な「調査」(例えば、飲料を 何種類か同時にサーブし、好きなものから、好きなだけ飲んでもらい、飲まれた順番 や飲んだ量を観察(測定)する)もあれば、感応検査的な、実験的な「調査」もあり ます。 以上は、サンプリングが厳密であるか、はたまた、いわゆるダーティーサンプリング であるかとは、別次元に設計されております。 より、生活トータルで見たい場合、観察的調査になり、明らかにしたい対象が絞られ ている場合、実験的調査になるかと思います。 むしろ、調査屋としては、調査と実験が対峙する概念であるという考え方があること を知って、驚いているといのが正直な感想です。 t_sato (at) gauss-net.co.jp tsatoh (at) mc.neweb.ne.jp
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