[fpr 2376] 調査と実験

出口慎二

出口と申します.仕事上,若干各種「調査」や「調査」データにかかわる
ことのある者です.

芳賀先生投稿の趣旨は,「調査」という言葉が,広義の場合と狭義の場合あり,

 広義の場合,「実験調査」などとも言えるのに,
 狭義の場合,「実験」vs「調査」のように相対するものとして使われる

という点についてどう思うか,また,

 「実験」と狭義の「調査」はどう区別して定義されるべきと考えるか

ということと了解し,以下,私見です.

言われてみますと,確かに,狭義の「調査」は,他にふさわしい言葉が
ある方が良い気がします.

ただし,

>要因統制が行われるのが「実験」と定義することは良いとして,
>要因統制が行われないのが「調査」と定義して良いものでしょうか?

>要因統制が行われないのは,観察と定義し,
>実験 v.s. 観察

というようには考えません.そうではなく,

>ランダムサンプリング(による外的妥当性の保障)と
>ランダマイゼーション(による内的妥当性の保障)も

こちらのほう,という感覚を持っています.

両方の妥当性を満たすような調査設計(この「調査」は広義ですね...)
が可能なのは確かですが,私の持っている感覚(語感?)では,
こちらのほう,一般化の方向で定義されるべきと考えます.

私が,要因統制という観点での線引きに違和感を感じる例としては,
例えば,世論調査のように,日本の有権者のうち,現内閣を支持して
いる人の割合を知りたい,という目的で行う調査をあげられるかと
思います.

あるいは,ある選挙区で,誰が当選するかを知りたいという目的で,
その選挙区の有権者(で投票に行く人)のうち,最も多くの人の
支持を受けているのはどの候補者かを調べようと行う,選挙予測の
ための調査などもあげられるかと思います.

こうした調査では,「要因統制」という発想はかみ合わないのでは
ないかと思いますがいかがでしょうか.

#だからと言って,その場合,芳賀先生の言われている「観察」に代わる
 言葉は思いあたらないのですが....

#因みに,日本の「the」の付くべき狭義の「世論調査」と,特に深く
 考えず一般名詞のつもりで使う,ただ,みんなが何考えているのか
 聞いてみましょうという程度で使う"世論調査"も,何か違う言葉に
 してもらえたらなあと常々感じています.(心理学には関係ありませんが...)

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出口慎二(deguchi shinji)

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