[fpr 2379] 調査と実験

murakami (at) edu.toyama-u.ac.jp

芳賀 様


MLに加入したばかりの心理学の村上です。

失礼ながら、議論は定義に関する内容であまり生産的ではない印象を受けます。
新しい調査技術の提案等の方がよいと思います。

的はずれかもしれませんが、私が二年前に社会福祉の本に書いた概説の一部を引
用しておきます。実証的手段として観察、調査、実験という方法論があります。
これらは同一のグループに属します。実験と調査を対比する必要はないと思いま
す。要因の統制という概念は観察、調査、実験のいずれにも組み込み可能です。

> 
> 言葉が足りなかったので補足しますと, 前メールの後半は
> 世論調査でも,実験,要因統制という概念を取り込むことが
> 可能だし,必要な分野もあるのでは?と
> 言いたかったのです.
> 
 

星野・金子(編)社会福祉調査論(中央法規、2002年4月)

第2章 社会福祉調査の校正と分析(村上)
 1.科学的仮説とは
 2.実証的方法とは
 3.社会福祉調査の方法
 4.測定とはなにか


\section{実証的方法とは}


科学の所産は研究者社会のコンセンサスの結果である。常に他の研究者による承
認を必要とする。ある一人の研究者がデータを収集し、天才的な説明モデルを作
成したとしよう。それは、本当に素晴らしい説明モデルかもしれない。しかし、
独善的で、誤った説明モデルである可能性もある。新しい説明モデルは、研究者
社会で承認されて初めて科学的真実となる。

実証的方法とは、ある研究者が行った研究を、別の研究者が追試・承認できる方
法である。具体的には、観察、調査、実験の3つの方法を意味する。


\subsection{観察}


現実の世界を見聞きする事によってデータを集める方法である。自然科学では現
象を単純に観察し記録するだけで、説得力のあるデータが収集される。社会科学
でも観察する対象が客観的な物であれば、一人の研究者が観察、記録しただけで、
立派な研究となることがある(例えば、今, 1989)。

しかし、観察される対象が人間である場合は、事情が異なってくる。例えば、あ
る研究者が教室で生徒の行動を観察し、ある生徒は\lq\lq 落ち着きがない\rq\
rq 問題児であると主張したとしよう。その生徒は他の生徒と比べてどの程度落
ち着きがないのか、どんな客観的行動が見られるのか、他の研究者に客観的に根
拠を示す必要があろう。また、観察するという行為が観察される人の行動を左右
する場合もある。知らない研究者が教室に現れた結果、生徒の落ち着きがなくな
ることもあり得る。

\subsubsection{非統制的観察}
\subsubsection{統制的観察}
\subsubsection{臨床的観察}

\subsection{調査}
 
 
一般的に何らかの仮説に基づいて調査用紙を作成し、それを配布して体系的にデ
ータ収集を行う方法が調査である。調査では観察のように研究者が観察対象に接
近する必要はない。調査は現状把握のために行い、調査する変量の数も多い。ま
た、データが大量に収集できるため、数量的で、客観的な統計的分析が可能にな
る。変量間の関係性を分析する場合が多い。

\subsubsection{面接調査}
\subsubsection{配票(留め置き)調査}

\subsubsection{郵送調査}
\subsubsection{託送調査}
\subsubsection{集合調査}

\subsubsection{電話調査}


\subsection{実験}



実験は調査とは異なり、因果関係の証明のために行う。一般的には少数の変量に
注目し、その変量を操作し、現実がどのように変化するかを観察する方法である。
調査では因果関係の証明が困難な場合が多いので、どうしても最終的には実験的
方法が必要になる。


\subsubsection{独立変数と従属変数}

\subsubsection{実験群と対照群}
\subsubsection{ランダム化}
\subsubsection{二重盲検法}
\subsubsection{実験研究の倫理}
\subsubsection{単一被験者実験計画}



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村上宣寛 


(勤務先)
〒930-8555 富山市五福3190
富山大学教育学部学校心理学
TEL/FAX 076-445-6367
E-mail: murakami at edu.toyama-u.ac.jp
HomePage:http://psycho01.edu.toyama-u.ac.jp/

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