以前、キャンベル共同計画の件で投稿した正木と申します。 [fpr 2371]からの議論、大変興味深く読ませて頂きました。 on 4/25/03 18:35, Y.Hasegawa/長谷川芳典 at hasegawa (at) cc.okayama-u.ac.jp wrote: > 知覚の実験は確かに実験ですが、被験者は少ないし、群間比較もやらない、 > 無作為な割付もしません。 このご指摘に乗じて、疑問に感じていたことを質問させて頂きます。 日本の社会科学、心理学、教育学領域において Evidence Based な研究はどのくらいなされているでしょうか? 具体的には、 教育や処遇などの介入効果をみるための、無作為化を行ったうえ での群間の比較研究(randomized controlled trial: RCT)は、 どの程度実施されているでしょうか? 最近、青少年の暴力行為に関する国内研究動向を把握するため、 文献の調査を行いました。かなり広範囲に探索したつもりですが、 RCT による研究を1件も見つけることはできませんでした。 かろうじて、教室毎に異なる内容の指導を行った結果を比較する といった、無作為化をしない準(quasi)実験デザインのものは 数件見つけることはできましたが、どうも調査時の手応えとして、 国内では RCT による介入研究そのものが少ないのではないか、 との印象を強くしました。 一方、国外をみますと、キャンベル共同計画のマザーデータ ベース(C2-SPECTR)には、無作為あるいは無作為であろう と思われる研究デザインを用いた研究が1万件以上あり、 小規模な準(quasi)実験デザインを含めると、 おびただしい数(10万件以上?)になるようです。 http://128.91.198.137/ 国内の文献データベースが、研究デザイン別に効率よく探索できる 構造を持たないために、うまく目的とする研究を抽出できない事情 もありますが、それにしても1件も見つけられないというのは、 どうも腑に落ちない次第です。 因みに、保健医療分野においては、国内においても薬効評価や 医療介入に対する数多くの RCT を用いた研究報告があり、 これらは比較的容易に検索可能です。 日本の社会科学、心理学、教育学分野では、本当に RCT が殆ど 行われていないのか、それとも、単にみつけられない(探し方が悪い) だけなのか、ここのところがどうもよくわかりません。 このあたりの事情について、ご教示頂けませんでしょうか。 あるいは、この分野には RCT 研究は沢山ある(はず)といった、 情報提供や探し方も含めてご教示を頂ければ幸いです。 稀な投稿にて、いきなり漠とした質問となり恐縮ですが、 この分野の門外漢ということでご容赦願います。 -- 東京大学大学院 国際保健計画学(客員研究員)正木朋也 email: masakit-tky (at) umin.ac.jp
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