村上先生、 門外漢にて唐突な質問により失礼致しましたにも拘わらず、 早々にコメント頂き、どうも有り難うございました。 その後も、ランダム化比較実験の枠組みにて、エビデンス を求める原著論文は見いだせていません。 一応、国内の最近の動向を知るには、以下が参考になり ましたのでご参考までに・・・。 津富 宏. EBP(エビデンス・ベイスト・プラクティス)への道・ 根拠に基づいた実務を行うために. 犯罪と非行 2000;(通号 124):67-99. 丹野義彦. 展望:実証にもとづく臨床心理学に向けて. 教育心理学年報 2001;(40):157-168. 丹野義彦. エビデンス臨床心理学 : 認知行動理論の最前線. 東京: 日本評論社; 2001. キャンベル共同計画の活動との兼ね合いもあり、ここ数年で、 人文社会学分野において、Evidence Based な研究が始まろう としているとの印象を持ちました。 この他、準実験モデル(ランダム化は行わない)を用いた比較 研究として、以下がありました。 藤枝静暁, 相川充. 小学校における学級単位の社会的スキル 訓練の効果に関する実験的検討. 教育心理学研究 2001;4(3):371-81. なお、ランダム化と対照(統制)群を用いた研究として以下を 見つけましたが、これは介入効果の是非を判定するための実験 デザインではなく、心理モデルを検証する目的と見受けました。 湯川進太郎, 遠藤公久, 吉田富二雄. 暴力映像が攻撃行動に 及ぼす影響:挑発による怒り喚起の効果を中心として. 心理学研究 2001;72(1):94-103. まだ他にもエビデンス関係の研究はあるのでしょうが、 現時点でみつけられたのはこの辺りです。 国内のデータベースは、実験デザイン毎の実証的研究を効率よく 探索できる構造になっていないので、探すだけでも意外に大変 であることを再認識しました。 そういえば、先ほどご紹介頂いた「兄弟みたいな」MLは、 丹野先生の研究室の大学院生の方が主催しておられることを 認識しました。 on 5/6/03 12:59, Keizo Hori at hori (at) ec.kagawa-u.ac.jp wrote: > これを見て,長い間気づかなかったが,fpr の兄弟みたいなのがで > きてますね。少ないメンバーの割には活発です。 > > proc-glm > http://www.egroups.co.jp/group/proc-glm 情報提供どうも有り難うございました。 > 堀先生 今後も、fpr 関連分野において、エビデンスに関わる情報があれば、 是非、ご教示頂きたく宜しくお願いします。 以上、取り急ぎ御礼旁、参考事項のご報告まで。 -- Tomoya MASAKI < masakit (at) m.u-tokyo.ac.jp > on 4/27/03 8:47, murakami (at) edu.toyama-u.ac.jp at murakami (at) edu.toyama-u.ac.jp wrote: >> 日本の社会科学、心理学、教育学領域において Evidence Based >> な研究はどのくらいなされているでしょうか? 具体的には、 >> 教育や処遇などの介入効果をみるための、無作為化を行ったうえ >> での群間の比較研究(randomized controlled trial: RCT)は、 >> どの程度実施されているでしょうか? >> > > ほとんど実施されていないのではないかと思います。 > > 5,6年前、英語教育分野で、grammatical approachと communicative approach > の教授効果の研究をした院生がおり、数クラスを実験群と統制群に割り当てまし > た。教師役は二名が両方の条件で教える、という方法で研究したことがあります。 > 教師の技術・人格要因を統制したつもりでしたが、学力テスト結果は群間に有意 > 差なし、でした。 > > 介入で対照条件を導入した研究でもまれで、無作為化まで行った研究はほとんど > ないでしょう。 > > 教育・心理分野での不毛な研究は山ほどありますが、Evidenceになりそうな研究 > がどれだけあるか、疑問です。 > > > > ----- > > > 村上宣寛 > > > (勤務先) > 〒930-8555 富山市五福3190 > 富山大学教育学部学校心理学 > TEL/FAX 076-445-6367 > E-mail: murakami at edu.toyama-u.ac.jp > HomePage:http://psycho01.edu.toyama-u.ac.jp/
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