[fpr 2412] 縦断データの解析について

豊田秀樹
豊田秀樹＠早稲田大学です

ざっとですが意見を述べます．

Masafumi Kirino さんは書きました:
>桐野＠岡山県立大学大学院生です。この度、縦断データの解析を
>試みることで、以前から興味のあった知見を検証してみたいと考
>えております。しかし、考えれば考えるほど、どういった統計手
>法で解析するべきか、あるいはそれを検証する統計手法はあるの
>か、といった問題で苦戦しております。そこで、何かよい方法を
>ご教授いただければと思い、投稿させていただきました。
>以下、簡単な調査の内容です。
>データは、2時点（ベースラインと2年後）で調査しております。
>調査項目は、ある構成概念（能力）を10項目で評価する尺度（ 2
>件法～4件法；20点満点）です。（SEMにより構成概念妥当性が検
>証されている一次元尺度です）この測定尺度は、得点が高いほど、
>その能力が高い（できる）ことを意味しています。
>このデータを利用して、時系列変化を観察したいのであれば、ベ
>ースライン時の10項目の合計得点、 2年後の10項目の合計得点を
>算出し、確率変数（切片と傾き）を設定した潜在曲線モデルなど
>で解析できると思います。さらに、説明変数を導入することで、
>より有益な情報が得られるかもしれません。

仰るとおりです．

>しかし、今回は、時系列変化に加え、これらの能力の階層性を考
>慮した統計手法についてお伺いしたいのです。
＜中略＞
>①に関しては、2件法、3件法などの回答カテゴリに統一性があれば
>Guttman scale analysis、Mokken scale analysis等の
>統計パッケージで容易に解析できるのですが、
>今回は2～4件法といった回答カテゴリに統一性がないものです。
>MULTILOGなどのIRTソフトを使用したこともあるのですが、
>2値と多値では項目反応モデルも異なるため、
>今の私には、解釈に難しいと考えております。
>②に関しては、正直なところ、具体的な解析方法すら検討がついておりません。
>簡潔には、困難度の高い項目から経時的に誤反応（できない）になることを
>検証してみたいと考えております。
>しかし、それを解析する具体的な方法が見当たらず、困っております。


拙著「共分散構造分析「入門編」朝倉書店」Ｐ236の図13.1「発達記述モデル」
をご覧ください．教科書のモデルは4変数×2時期ですが，桐野さんの場合は，まず
10変数×2時期＝20変数のモデルにします．また教科書のモデルは連続変数で
示されていますが，桐野さんの場合は，全てカテゴリカル順序変数（入門編12章）
に指定します（2件法は閾値１つ、3件法は閾値２つなど）．更に時期の異なる
同じ変数の閾値には等値の制約をおきます（この他の制約は教科書に準じます）．
主たるモデル化は以上です．

推定された閾値の順番が

＞つまり、項目A、項目B、項目C、項目D・・・項目Jの順に、
＞困難度の高い項目を配列した場合、
＞ある被験者について、項目Cの課題を遂行する能力があれば、
＞それよりも易しいD～Jは能力的には「できる」と考えられます。

の理論を支持していれば，①の階層性が支持されたことになります．

またこれらの制約の下で，2年後の構成概念の母平均の推定値が
低下していることが確認されれば，
②その階層性に従って特性値が低下している
ことが支持されます．

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メールアドレスが変更になりました．
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 TOYODA Hideki Ph.D.,  Professor,                    Department of Psychology
 TEL +81-3-5286-3567  School of Letters, Arts and Sciences, Waseda University
 toyoda (at) waseda.jp            1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan
 http://www.littera.waseda.ac.jp/faculty/tyosem/index.html
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