[fpr 2436] 探索的因子分析におけるMLとOLS

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

探索的因子分析について興味深い論文がでました。

Nancy E. Briggs and Robert C. MacCallum(2003). Recovery of 
Weak Common Factors by Maximum Likelihood and Ordinary Least 
Squares Estimation. Multivariate Behavioral Research, 38 
(1), 25-56.

です。

弱い因子(相関が低い項目の因子)があると最尤法ではうまくそれ
を回復するできないことがあるが,最小2乗法だと最尤法よりうま
くいくことが多いというものです。そういう意味で探索的因子分析
の場合,最小2乗法の分析が必須というものです。各種指標なので
の最尤法の優位性は認めるものの,因子をうまく抽出するという意
味では最小2乗法がいい。

また,サンプルが300以下の場合も一般に最小2乗法がいい。サ
ンプルが多いときは最尤法もいいとのこと。研究は 100,300, 500 
のサンプル。

この問題,以前に服部さんが日心のfprのワークショップ( 心理学
研究における因子分析適用の諸問題 1996.9)
http://www.nuis.ac.jp/~mat/fpr/workshop96.html

においてols を推奨していましたが,それを強くサポートする研究
だといえます。

また,たまたま起こっているという指摘ですが,Comrey and 
Lee(1992)の性格検査データの一部を使った例も衝撃的です。4因
子のうち1つの因子を弱い因子にしたところ,最尤法では別の因子
(単数)の因子パタンにも影響を与えています。最小2乗法では影
響をうけません。

前からいっている因子分析練習帳は最尤法だけでいこうと思ってい
たのですが,構想を練り直さないといけない。

ML派の狩野さんから何かコメントが欲しいですね。あの研究会あた
りでいかがでしょうか。

それから宣伝。SPSSのcategories を持っている方に。homals, 
correspondence, catpca を使った授業のためページを作りまし
た。少し遊んでみようというかたはどうぞ。データを使って処理し
てみようというレベルです。

http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/mva.html

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堀 啓造(香川大学経済学部)
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