> > ところで,因子分析もしくは主成分分析のとき平均値をとってから相関 > 行列をつくっているのでしょうか。SD法の主たる方法はstring-out 法と > して平均値をとらないタイプでしょう。吉田『心理統計法』丸善参照。 > 超なつかしいお話になってきました。昔々、SD法の方法論の問題に頭を悩ませ、 卒論を書き、初めて心理学研究に投稿し、掲載されました。初めて自分の論文が 印刷された時は感激しました。今はグレてしまいましたが。 string-out法は膨大なデータとなり、一ヶ月がかりでパンチカードを作成したも のです。string-out法は平均値をとって入力する方法よりも、多くの興味深い因 子が取り出せます。だからやりがいがあります。 EPA構造の普遍性とその問題についても、数量的能力がないのに、尺度の情報量 が関係しそうだと考え、低分散尺度の因子分析からEPAのaffective structureが、 高分散の尺度の因子分析からdescriptive structure が得られるという論文を書 きました。自分では基本的には正しい方向だと確信していましたが、誰も認めて くれませんでした。他のテーマの研究をして遊んでいました。ちょっと反省です。 それから20年くらい経ちましたか。big fiveという性格の普遍的構造が話題にな っていました。測定手段がないと研究ができないので、まず、Goldberg仮説に基 づいて「主要五因子性格検査」を作りました。しかし、日本語での検証ができて いません。 性格心理学研究 2002 第11巻 第1号 35-49 基本的な性格表現用語の収集 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jspp/pub_jou/jjp11_01/jjp111_1_04.html を行い、 日本語におけるビッグ・ファイブとその心理測定的条件 性格心理学研究2002 第11巻 第2号 本研究の目的は、語彙アプローチによって日本語におけるビッグ・ファイブを導 くことである。かつてのSD法におけるEPA構造の普遍性の問題から推測すると、 ビッグ・ファイブを得るための心理測定的条件は、1.用語の熟知度や使用頻度が 高いこと、2.用語の分散が大きく、評定値が中央付近に位置すること、と推測さ れる。分析1では村上(2002)の基本的な性格表現用語から原則として抹消率13%以 下の用語を収集し、同義語と反意語を整理し、554語を調査対象とした。被験者 は大学生男性150名、女性220名の計370名であった。分散の高い317語を選択して 対角成分にSMCを入れて20因子まで抽出した。スクリー法で因子数を5と定め、オ ーソマックス回転を施すと、外向性(E)、協調性(A)、勤勉性(C)、情緒安定性(N)、 知性(O)のビッグ・ファイブが得られた。語彙アプローチ研究によって日本語で もビッグ・ファイブが得られることが証明された。分析2では各因子の因子負荷 量の大きな20語を抽出し、100語でビッグ・ファイブ構造を再確認し、各因子ご とに主因子法とオブリミン回転を適用し、側面因子を求めた。結果は、外向性で は活動性、社交性、自制、協調性では妬み、怒り、身勝手、勤勉性では親切さ、 ねばり強さ、従順さ、情緒安定性では活動性、楽観性、知性では小心さ、内省、 意志の側面因子が得られた。日本語でのビッグ・ファイブは、細部では英語圏の 内容と異なっている可能性が示唆された。 で、やっと確認しました。(まだ、upされてしません。自宅なので、ページ不明) 五因子研究で一段落が付いたこと、雑用その他で研究が止まっています。分散の 高い項目を集めるときれいなbigfiveが得られます。こんな方法論的なことを考 えてbigfiveを出した人はいないように思います。どこか間違っているかもしれ ませんが、予測通りにbigfiveがでました。 このfprには数学的素養のある人が多いようですので、数学的な基礎理論をどな たか追求していただければと思います。私は直感派で数式を展開する能力があり ません。 ---子供達のスノーキャンプの付き合い(外部評価委員として遊びに行くだけ)な のでこれで、失礼します。暖冬で、待望の雪がやっと降った所です。 ----- 村上宣寛 (勤務先) 〒930-8555 富山市五福3190 富山大学教育学部学校心理学 TEL 076-445-6367 E-mail: murakami (at) edu.toyama-u.ac.jp HomePage:http://psycho01.edu.toyama-u.ac.jp/
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