大西さんはじめまして。女子栄養大学の芳賀と申します。 統計は専門ではないのですが、実務的な視点で コメントしたいと思います。 ご投稿を読んだ感想としては 「データ数が30と少なく安定ではないのは承知で」 ・・・これは、患者数が少ない、といった実務的な理由によるのでしょう、 「あえて、やってみるには・・・?」という相談を持ちかけられたのだろうと 思います。 これは分野によって事情や、使い方への許容度が違うので、 いくら統計的な問題点を指摘しても >「あまり意味がないというのか?」と反論 を食う、ということになるのだと思います。 相談者の方は、 「このデータを分析するとすると、 あくまで統計的には・・・(A)・・・であるが」というくだりにあたる、 (A)の部分へのコメントを求めて相談に来ているわけではないのだと 思います。 たぶん、 あえてやるならどうするか(B)ということへの回答と、 「そもそも因子分析というのは・・・(C)・・・」という説明と この事例に因子分析を適用するのにふさわしいか、どうすればよいか(D)、 ということへの回答 を与えてあげればよいのだと思います。 しかし、これに答えるのは非常に難しい問題と思います。 (A)を指摘するのは簡単ですが、(B)以降、 特に相談者にとって肝心な(D)は、実学的知識も理解したうえでないと 無理なように思います。 (B)以降に応えるためには ご投稿の内容の情報は少なすぎる印象です。 (以降、長文になりましたので、必要な方だけお読み下さい) ----------------------------- あまり詳しくは無いのですが、 レパートリー・グリッド法(略:レパグリ)の使い方も 分野によってかなりの変更が加えられていますし その後の定量化についても、さまざまなやり方があるようです。 読んだところから察するに、 1.レパグリで主観的な判断基準(変数)を抽出 2.判断基準(変数)に沿ってSD法で調査 3.2の結果を元に因子分析をかける という手順を踏もうとしているように読み取れます。 しかし、疑問として 1.レパグリにかけるにしては、30人はずいぶん多い。 →すごーくがんばったのか(?)、何らかの方法で (例えば順位をつける、または主観的にグルーピングさせるなど)で 30人を事前に分け、その群に対しレパグリをかけたのか はたまた、レパグリ段階では対象患者はもっと少なかったか・・・ いずれにしても詳細不明。 2.出てきた判断基準変数が12と少ない。 →30人を使ってレパグリをかけたにしては 出てきた変数が少ないように思える。 事前に何らかの方法で出てきた変数を整理統合していやしないか? (しかしそうだとすると、事前に整理統合したのに、 後から因子分析を使うのは腑に落ちない。) そうではなく最初からレパグリで出てきた変数が12しかないのなら、 かなり1因子を代表するような変数だけが抽出されていることも 考えられる。 しかし、変数を見て、さらに因子分析を使いたいというのだから 相当に内容が簡単なのか・・・? いずれにしても、因子分析を使うこと自体に意味があるか、という 本質的な部分に抵触しそう。 目的は本当にグルーピング、だけなのか、本当は何を目指しているか、を 理解して初めて、因子分析がふさわしいかどうか、にコメントできるのだと 思います。 3.目的が、それぞれの医師が多様な患者に対して抱く様々な 主観的感情を客観視するための方法 とあるが、先に示した手順では、一人の医師の中の判断基準でしかない。 レパグリを沢山の医師に実施、共通した項目がたまたま12だったので これを使って定量的に1人の医者に30人を評価させたのか・・・? 不明点が大きく判断できない。 ざっと考えただけで、これだけの疑問がわいてきます。 こういった疑問が全部わからないと、(B)以降についてコメントはできないと 思われます。 メールで分析相談といった場合に困るのが こういった情報の不足であって、できるだけ答えようと思えば思うほど 質問を繰り返すというドロヌマに入ります。 結局は分析全体のステップと出てきたデータを見ない限り 正確にコメントできないという話になってしまいます。 心ある統計家、アドバイザーほど、生半可にメールで回答しない、 というのはこういうことであり、 fprでの事例相談に回答が無いのはこういった理由によるものと 最近は実感しています。 ----------------------------- 芳賀麻誉美 〒350-0288 埼玉県坂戸市千代田3-9-21 女子栄養大学 食情報科学研究室 TEL:049-289-9325 E-mail:haga (at) eiyo.ac.jp
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。