[fpr 2548] RepertoryGrid法と因子分析

Hirotaka Onishi

芳賀さん,早速のご返事をいただきありがとうございました.
正直言って,レパグリという方法論自体,相談者にも私にも経験がないと
いう状況でしたので,その点も引っくるめて包括的な回答をいただいたこと
大変恐縮です.

> 読んだところから察するに、
> 1.レパグリで主観的な判断基準(変数)を抽出
> 2.判断基準(変数)に沿ってSD法で調査
> 3.2の結果を元に因子分析をかける
> という手順を踏もうとしているように読み取れます。

はい,そういうことだと思います.

> 1.レパグリにかけるにしては、30人はずいぶん多い。
>
> →すごーくがんばったのか(?)、何らかの方法で
> (例えば順位をつける、または主観的にグルーピングさせるなど)で
> 30人を事前に分け、その群に対しレパグリをかけたのか
> はたまた、レパグリ段階では対象患者はもっと少なかったか・・・

通常の因子分析をするということを考えると,かなりのサンプル数が必要
ではないですかと私が言ったので,苦し紛れに「30人」という答えをした
可能性があります.また,現在,その病院で研修医が患者を診るペースを
考えると,半年分を集計すると少なくとも30人は集まるかなという意図だった
かもしれません.そうなると,連続サンプリングするしかないわけですが.

> 2.出てきた判断基準変数が12と少ない。
>
> →30人を使ってレパグリをかけたにしては
> 出てきた変数が少ないように思える。
> 事前に何らかの方法で出てきた変数を整理統合していやしないか?
> (しかしそうだとすると、事前に整理統合したのに、
> 後から因子分析を使うのは腑に落ちない。)
>
> そうではなく最初からレパグリで出てきた変数が12しかないのなら、
> かなり1因子を代表するような変数だけが抽出されていることも
> 考えられる。
> しかし、変数を見て、さらに因子分析を使いたいというのだから
> 相当に内容が簡単なのか・・・?
>
> いずれにしても、因子分析を使うこと自体に意味があるか、という
> 本質的な部分に抵触しそう。
> 目的は本当にグルーピング、だけなのか、本当は何を目指しているか、を
> 理解して初めて、因子分析がふさわしいかどうか、にコメントできるのだと
> 思います。

個々の医師にとって,患者を主観的に判断するための軸というのはそれほど
多くないのかもしれませんが,ここは正直言って「やってみないと分からない」
ところだと思います.ただ,私としては,まずはフォーカスグループや深層
インタビュー等で質的に,深くデータを集めて,何らかのモデルを構築した
方がいいのかなと思っていたのですが,その相談者はレパグリに最初から
飛び付こうとしているようで,その良し悪しという点も私には判断できません
でした.

> 3.目的が、それぞれの医師が多様な患者に対して抱く様々な
> 主観的感情を客観視するための方法
> とあるが、先に示した手順では、一人の医師の中の判断基準でしかない。
> レパグリを沢山の医師に実施、共通した項目がたまたま12だったので
> これを使って定量的に1人の医者に30人を評価させたのか・・・?

まだ,何もデータを集めてはいません.12項目というのは彼が任意に決めた
数字であり,私にとっては,そのような恣意的な方法自体にちょっと違和感が
あったのですが,そういう意味で「本質的」な問題があるのかもしれません.

> メールで分析相談といった場合に困るのが
> こういった情報の不足であって、できるだけ答えようと思えば思うほど
> 質問を繰り返すというドロヌマに入ります。
> 結局は分析全体のステップと出てきたデータを見ない限り
> 正確にコメントできないという話になってしまいます。
>
> 心ある統計家、アドバイザーほど、生半可にメールで回答しない、
> というのはこういうことであり、
> fprでの事例相談に回答が無いのはこういった理由によるものと
> 最近は実感しています。

はい,今回は特に相談を受けた方があまり分かっておらず,相談した方も
あまり分かっていないため,特にとらえどころのない質問になっているかも
しれません.

ただ,患者が医師を訪れるのは,何が分かっていないかが分かっていない
ものの,その分かっていない点について理解して症状を取って欲しいが故に
相談するわけですので,このような統計に関する質問に関しても,いきなり
完璧な質問をすることも,いきなり100%正しい回答を要求することも難しいと
いうことでお許し願えれば幸いです.

大西弘高 国際医学大 医学教育研究室
Sesama Centre, Plaza Komanwel, Bukit Jalil 57000 Kuala Lumpur, Malaysia
Tel: +60-3-8656-7228 (Ext. 2536)  Fax: +60-3-8656-7229
http://www.imu.edu.my e-mail: onishi-hirotaka (at) umin.ac.jp


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