堀@香川大学経済学部です。 次のデータをみてピンとくるでしょうか.SPSSでのシンタックスを入れておきまし た. matrix data var=v1 to v6/n=300. begin data. 1 0.018 1 0.018 0.36 1 0.018 0.36 0.36 1 0.018 0.36 0.36 0.36 1 0.018 0.36 0.36 0.36 0.36 1 end data. *(1)主成分分析. factor matrix=in(cor=*)/criterion=factors(2). *(2)ml ->promax回転. factor matrix=in(cor=*)/criterion=factors(2)/extraction=ml/rotation=promax(3). *(3)ml ->直接オブリミン回転. factor matrix=in(cor=*)/criterion=factors(2)/extraction=ml/rotation=oblimin. *(4)uls -> promax. factor matrix=in(cor=*)/criterion=factors(2)/extraction=uls/rotation=oblimin. *(5)反復主因子 -> 直接オブリミン回転. factor matrix=in(cor=*)/criterion=factors(2)/extraction=paf/rotation=promax(3). 結果は(2)(3)(4)において1度は共通性1を超える.つまり不適解.最終結果は1を超 えない.(1)は主成分分析なので普通に解がでる.(5)は反復主因子法で,文句をださ ずに解が求まる. データはモデルから作っている母相関行列である.因子パタンとして1指標の因子と 5指標の因子があり,2つの因子間に0.05の弱い相関がある. この結果は2つの因子間に高い相関があっても同様になる. 1指標の因子は共通因子とはならない.[fpr 2011] 因子分析など数題 http://www.nuis.ac.jp/~mat/fpr/fpr2001/0122.html でも言及していることです.そして,このことはモデルのレベルで言えることで直交 モデルを強いていうことではない.このデータのよなものは直交解だと,本来単一の 指標であるはずの因子に,複数の項目が負荷していることになる.つまり,正しく斜 交モデルを考えなければならない. さらに,ml,uls なら不適解であることで問題のあるデータであることを示すが,反 復主因子解ではそれを示すことはできない.ml のほうがuls よりも異常であることを 明確に示す.ただ,どこに異常があるか考えるとき,ulsや反復主因子解と対照させる ほうがいい. ml の不適解はこのように因子数が間違っていることを示すものでもある.因子数決定 の重要な指標となりうる. ml のpromax 解は求められないが,直接obliminは求められる. ml の不適解はいろんな条件で生じますが,まず疑ってみるのは因子数を多くとりすぎ ているかです.そして,直交解ではなく斜交解で考える. 反復主因子解に不適解が生じにくいのはこういうデータでも求まってしまうことがあ るから. などと,いろいろ考えることのできるデータになってます. 乱数生成をしても同様の結果を得ることができます. ---- 堀 啓造(香川大学経済学部) home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。