堀@香川大学経済学部です。 Re: [fpr 2600] Re: 数学的能力の高い人の脳は… 村上さんども. > ただ、性差研究の意義がどこにあるのか、私の頭ではあまり理解できません。男---> XXX , 女---。YYYという行動予測はどうせ失敗するでしょう。 理論的には面白くないです.現象的に楽しめる(^^;. >こういうわかりやすい心理学の本を書いてくれると良いですね。 日本の心理学者の講演を聴いていると,面白い内容をこんなにつまらなくして話しをす るんだと感じます.特に故南博氏の講演ではそう感じました.南伸坊が大学の講義を盗 聴して書いた本に都立大学詫摩氏の講義を面白いことをたんたんと話していると評して いました. それで,心理学とは「面白いことをつまらなく話すものである」という一 般化をしてみました.学会で面白い話をすると私が思う,河合隼雄氏や佐伯胖氏は学部 は心理学以外です. 心理学出身もしくは興味をもつ科学ライターが育てばいいのですが. 去年読んでた本ですが,内容は結構おもしろいのにすごく読みにくい本があります. 『未知なるものに揺れる心−不確定性志向性理論からみた個人差』(北大路書房) http://webcatplus.nii.ac.jp/tosho.cgi?mode=tosho&NCID=BA62055945 曖昧なものに出会ったときに,「曖昧なものを曖昧なままで置いておける人」と「置い ておけない人」にタイプ分けによって従来のいろんな心理学的知見に挑戦している本で す.従来の知見は大学生=多くは「ほっとけない人」をベースにしているので,それを 一般化するのは危険だというのです. 例えば情報処理において,確定的場面では「置いておける人」は意図的体系的な処理を し,「置いておけない人」は自動的処理をするが,曖昧な場面では「置いておける人」 は自動的に処理し,「ほっとけない人」は意図的体系的に処理する.つまり,「置いて おける人」は確定的場面で一生懸命情報処理し,「ほっとけない人」は曖昧な場面で一 生懸命情報処理するということになる. そこから,「置いておけない人」は新しい情報に,ポジティブな価値を強調する.例え ば職業を決めるときあいまいさを解決されることによって得られる利益に注目し,多く の職業を考える.「置いておける人」新しい情報に,ネガティブな価値を強調する.そ うすると職業を多く調べることはしない. などなど各章で重要理論について検討することになる. 今,「曖昧さを曖昧なまま置いておける人」を「確定志向の人」(certainty oriented person; CO),「曖昧さを曖昧なまま置ほっとけない人」を「不確定志向の人」 (uncertainty oriented person; UO)と呼んでいる. 米国のイラクと北朝鮮に対する対応をみると興味深い概念であることがわかるでしょ う.また,日本と米国の違いを見るときにも興味深い.いろんな理論に対する挑戦も面 白いのだが,読みにくい.その一つにUO,COの訳語がありそうだ.訳そのものはそれほ ど目立ってまずいということはなさそうなのだが読み進みにくい.おかしい. だれか理由を解明してください. ---- 堀 啓造(香川大学経済学部) home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/
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