はが@立教大学です。 >初めまして。心理統計学を学んだ学生の社会での評価が芳しくない、とのことです >が、具体的にはどのようなことなのでしょうか? >私は心理統計の教育で末席を汚しているものにすぎませんが、心理学研究のもっとも >基本的なものとして考えてきていましたので、このような評価があるのかと、ちょっ >とショックでもありましたので。 豊田先生の原文を消してしまったのでウロ覚えですが,社会での評判が芳しくないの ではなくて,早稲田の心理学科の学生内で心理統計関係のゼミの人気がないと書いてあ ったのではないかしら。「心理学ではこんなこともできる」ということが社会には認知 されていないとも書かれていましたが。 私は心理学科の卒業生が大学で学んだことを社会で生かせるようになって欲しいと思 うし,就職した企業・組織で役立つような専門知識・技能を身に付けた学生を社会に送 り出さないと,心理学科の未来はないと思っています。今の心理学教育はアカデミズム の中で一生を終える研究者か心理臨床家を育てることを目指していて,大部分の学部卒 業生にとって心理学は単なる「教養」に過ぎないのではないか。だから,就職戦線では 他の人文系学生と差別化できない。もっと,「使える」学生を育てるには,質問紙調査 の企画から実施,統計分析まで,psychophysicsの応用としての官能検査,イメージ調 査とSD法,実験計画法,心理統計法をしっかり教え,学生も身を入れて勉強して欲しい と思います。 しかし,現実に入学してくる学生は臨床に興味が偏重した文系人間(=数学大嫌い) ばかりで,こういう話をしても反応はニブイです。豊田ゼミに学生が集まらないのも分 からないでもない。早稲田(+著名なる豊田先生の看板)でもそうなら,他の私立大学 ではもっと難しいでしょう。 PS)プレジデントの「心理統計学講座」は1と2をオンラインで読みました。面白か ったです。続きを楽しみにしています>豊田様 06/30 20:52記 はがしげる
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。