[fpr 2620] 不適解

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

松井さんの中部大学移動にともなってfpr のホームページが更新されな
くなってますね.
http://www.nuis.ac.jp/~mat/fpr/
2004年 2004.3.22
私の記憶では,ホームページをどうするかについては何もいっていない
ですね.メーリングリストが継続すればそれでいいと言えますが,何も
発言がないとすると,なんとかしようというお考えがあるものと理解し
てよろしいのでしょうか.ご苦労様です.

それはさておき.
Roderick P. McDonald(2004). Respecifying Improper Structures. 
Structural Equation Modeling, Vol. 11, No. 2: 194-209.

http://www.leaonline.com/doi/pdf/10.1207/s15328007sem1102_3
電子雑誌契約をしていれば直通で読めるはず.契約してない人は要約へ
http://www.leaonline.com/doi/abs/10.1207/s15328007sem1102_3

Van Driel(1978)の不適解の3つのタイプから4つのタイプに拡張して
いる.不適解の見分け方として情報行列に問題が生じたかどうかを使
う.
共通性を1以下に抑えるというbounded estimate はしない.

(1)タイプ1はサンプルサイズが小さいためにおこる不適解.独自性の
分散の信頼区間に正の値が含まれる.これはベイズ因子分析をすると
か,サンプルを増やすなどをすれば解ける.

(2)タイプ2はHeywoodが見つけたもので,解くことはできない.共分散
行列Σが半正定値行列で,Ψが1つ以上の負の独自性の分散を持つ.

(3)タイプ3はThurstone(1947)に理解されていたもの.情報行列が特異
もしくはpoorly conditionedの場合.このとき負の独自性の分散が生じ
る.多くの不適解はこれに属する.

(4)タイプ4.1,2,3に属さないもの.モデルが全体としては識別
可能であるが,局所的に識別できないもの.

(2)(3)(4)は変数全部を使った因子分析が間違っている.全変数を使っ
たときはパスを使ったsem で解く.正しいモデルならば分散が適当なと
ころに納まる.それぞれ図解あり.

(2),(3),(4)の事例を猪熊・狩野因子分析をしたところ,(2)は特異と
なり,(3)(4)は解がでた.というわけで,猪熊・狩野因子分析では何が
なんでも解くというわけではない.通常では(1)と区別ができないので
(4)が解けるのは仕方がないことであろう.

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堀 啓造(香川大学経済学部)
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