[fpr 2634] 独立変数,操作変数,個人差変数

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

ちょっと間違えてsurvey に投稿してしまいました.survey の方には二
重になります.

individual-difference varible という用語があることに気づい
て,少しチェックを入れてみるとおかしいところに気づきました.
高野陽一郎・岡隆編『心理学研究法』有斐閣アルマ, 2004,p41
>研究者のつくり出す原因は独立変数と呼ばれ,

とあります.そして「第4章 独立変数の操作」において説明され
ています.

独立変数て「研究者がつくり出す原因」なのでしょうか.この本で
は「第6章 剰余変数の統制」では剰余変数のなかに「個体差変
数」を考えていますが,これは索引に載らない用語です.

Pre-experimental and Quasi-experimental designs
http://www.uiowa.edu/~c07p202/presentations/non-exp.pdf
の説明には

Terminology of experiments
 Independent variable
  -Manipulated (or active, or treatment) variable
  -Not manipulated (or selection, or classification,
   or individual difference) variable
 Dependent (or outcome) variable
   
と分類されてます.独立変数のなかには操作変数と非操作変数があ
ると考えるのが通常なのではないでしょうか.それとも統計学とは
まったく違う考え方が実験計画法のなかにはあるのでしょうか.

芝祐順ほか『統計学辞典』新曜社によると
独立変数 関数y=f(x)において,xを独立変数と呼び,yはxの値
によって値が決まるので従属変数と呼ばれ…
というような説明です.

前に挙げたKlineの本(p20)だと
randomized groups or completely randomized designの変数
 をmanipulated or experimental variable

nonexperimental, correlational, or observational studies に
あらわれるのが nonexperimental or individual difference 
variable ということになります.

本の中(p223)では 個人差変数は  off-factor として扱います(対
立のことば factor of interest).Olejnik and Algina(2000)は
(同じく効果量計算のhow to を示したわかりやすい解説:分散分析
に絞ってかなり細かく解説してます) individual difference 
variable ということばをそのまま使用しています.いずれにして
も効果量の計算方法が操作変数の場合と違ってきます.

で,元に戻って,みなさんは独立変数は必ず操作変数でなければい
けないのでしょうか?
別の言い方をすると男女差は分散分析しちゃいけないんでしょう
か?


Kline., R. B. (2004). Beyond significance testing. APA.

Olejnik, S., and Algina, J. (2000). Measures of Effect Size 
for Comparative Studies: Applications, Interpretations, and 
Limitations. Contemporary Educational Psychology 25, 241- 
286.

ps. fprでは南風原さんが「個人差変数」「個体差変数」で各1回
発言している.
「個人差変数」は村山 航さんも
http://www4.ocn.ne.jp/~murakou/anova.htm
においてしてますね.

----
堀 啓造(香川大学経済学部)
home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/


スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。