狩野です 論文を眺めてみました. >ほかの分析では両者とも似たような結果になっているらしいですが, >こんなに差がある場合を考えると,やはりSteiger の示唆に従った方 >がいいのかな。その割には相関行列に対応するプログラムが他にでて >こないですね。 両者の違いは,Steiger のSepathと通常のプログラムとの違いからくる というよりも,Ackerman et alの分析モデルにおいて因子負荷を「高めの値」に 固定しているのに対して,Klaus et alの方は自由な母数として推定しその結果 かなり「低い値」として因子負荷が推定されているところにあるように思います. 固定した母数を自由にして推定してもあまり変化しないと書いてありますが, 信用できません.SEMの分析は素人のようですし,調和平均の計算が違って いたり,相関係数が間違っていたり,とてもpsych bulletinに採択された論文と は思えませんね. Steiger のSepathは(生データではなく)相関行列を入力したときに,統計的に 正しく分析するためのSEMプログラムです.一般的に言って,標準化推定値や 適合度は,AMOSやEQSとほとんど違わないはずです.違いは推定値の標準 誤差とt-値に現れます. --- 狩野 裕 大阪大学大学院 基礎工学研究科 数理科学領域 日本行動計量学会 春の合宿セミナー もうすぐ定員に達するかも http://www.kikuchi-lab.jp/seminar2005/ http://www.kikuchi-lab.jp/seminar2005/abstract.html ---- >堀@香川大学経済学部です。 > >Phillip L. Ackerman, Margaret E. Beier, and Mary O. >Boyle(2005).Working Memory and Intelligence: The Same or >Different Constructs? Psychological Bulletin, Vol. 131, No. 1, >30-60. > >に相関行列をそのままsem にかけた分析があります。モデルは簡単で >知脳g因子とワーキングメモリが潜在因子としてあって,その間に相関 >のパスをつないでいるものです。p43 fig.2が問題のものです。 > >その論文に対するコメントが >Oberauer, Klaus; Schulze, Ralf; Wilhelm, Oliver; Su"?, >Heinz-(2005). Working Memory and Intelligence--Their >Correlation and Their Relation: Comment on Ackerman, Beier, and >Boyle (2005). Psychological Bulletin, Vol. 131, No. 1, 61-65. >にあって,Steiger のSepathを使って処理すると結果がだいぶ違うこ >とを示しています。 > >相関は0.50から0.85に上がってます。Beiser and Ackerman(2005)のそ >れに対するコメントは問題のあるデータであるが,査読者からSEMを >やってみろといわれたからやったというものでした。 > >ほかの分析では両者とも似たような結果になっているらしいですが, >こんなに差がある場合を考えると,やはりSteiger の示唆に従った方 >がいいのかな。その割には相関行列に対応するプログラムが他にでて >こないですね。 > > >---- >堀 啓造(香川大学経済学部) >home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/ > --- 狩野 裕 560-8531 豊中市待兼山町1-3 大阪大学大学院 基礎工学研究科 数理科学領域 Email: kano (at) sigmath.es.osaka-u.ac.jp 電話/FAX: 06-6850-6485 数理事務: 06-6850-6491 ----
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