[fpr 2773] メタ分析

南風原朝和

fprの皆様:

南風原@東大教育心理です。

Keizo Hori さんからの引用:

> 堀@香川大学経済学部です。
> 
> Re: [fpr 2768] お願い
> 
> > 学生実習でメタアナリシスを行っていますが、通常、平均値の差、相関係数、オッヅ
> > 比については成書に記載がありますが、重回帰分析における偏回帰係数や重相関係数
> > の統合法がよくわかりません。どなたか関連資料などご教示を賜りますようお願い申
> > し上げます。
> 
> 特に知っているわけでないですが、他にお答えがないのでとりあえず一つの方法を示唆してみます。
> 
> 前に指摘した共分散構造分析のメタ分析の論文([fpr 2756] 相関行列のsem)は相関行列をメタ分析的
> に統合してその相関行列を分析しています。それと同じように相関行列を統合して重回帰分析するのが
> 一つの方法でしょう。


それもひとつの現実的な方法だと思いますが,統合された相関行列から計算される統
計量の統計的性質(標準誤差など)を求めるのが,難しくなるような気がします。

偏回帰係数の標本分布は,重回帰分析の通常の仮定のもとで,正規分布となるので,
効果量の統合(芝・南風原『行動科学における統計解析法』11-2節)と同様の方法で,
統合できると思います。つまり,各研究で得られた偏回帰係数を,その誤差分散の逆
数で重み付けて合成することによって,統合された偏回帰係数を求め,その重みを利
用して標準誤差や信頼区間を計算するというやり方です。(重みの計算に必要な偏回
帰係数の標準誤差は,統計ソフトで出力されます。)

ただ,重相関係数については,標本分布が複雑なので,そう簡単にはいかないような
気がします。(文献などには,あたっていません。詳しい方に補足していただけると
幸いです。)

あと,重回帰分析のメタ分析をするとしたら,統合の対象となるすべての研究におい
て,同じ独立変数の組と同じ従属変数が用いられている必要があると思いますが,そ
ういった研究がたくさんあるような研究テーマとして,どういうのがあるのだろうか,
という疑問をもちました。

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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp



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