[fpr 2809] 臨床心理士のスクールカウンセラーとしての有効性について

我妻則明

我妻則明@岩手大学と申します。

fprの皆様は,財務省のホームページに,臨床心理士のスクールカウンセラーとしての有効性について調査した結果が掲載されているのは,ご存知でしょう 
か。http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy160622/1606d.htm に,「予算執行調査資料 平成 
16年6月22日 主計局」の目次があり,その「19.スクールカウンセラー活用事業(教員研修事業費等補助金)」をクリックするとpdfファイルでダ 
ウンロードできます。要旨と言えるもので,本文に相当するものは,公表されていませんが,結論を分かり易く言い換えると,「臨床心理士はスクールカウン 
セラーとして役に立たないので採用しないで,臨床心理士以外の者を採用しなさい」という結論です。

サンプリング,問題行動の定義,推計学的な処理などの学問的疑問点がありながら,財務省の調査というお墨付きですので,行政的,社会的には,大きな影響 
があると思われます。

例えば,臨床心理士は,医療,教育,司法などの領域横断的な資格であることを主張していますが,教育の領域では有効性が疑われ,領域横断的な資格が崩れ 
るとか,教育学研究科で臨床心理士を養成している場合,その教育内容に疑問を持たれ,修了生の就職先がなくなるといったことが予想されます。

日本では,心理療法やカウンセリングの有効性についての実証的な研究がほとんど行われていない点を考えると,この財務省の調査は画期的なものではありま 
すが,一方ではそれ故に学問的な疑問点が存在するように思われます。この調査が発表されてから,1年近くが経過していますが,臨床系の方たちからのコメ 
ントを聞いたことがないので,fprの皆様からの,それぞれのご専門の立場からのご意見を伺えれば幸いです。

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   岩手大学教育学部
   障害児教育講座 教授
   我妻 則明  Noriaki AZUMA
   nazuma (at) iwate-u.ac.jp
   〒020-8550 岩手県盛岡市上田3-18-33
    Tel & Fax:019-621-6636
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