[fpr 2812] 臨床心理士のスクールカウンセラーとしての有効性について

村上宣寛

> 
> fprの皆様は,財務省のホームページに,臨床心理士のスクールカウンセラーとしての有効性について調査した結果が掲載されているのは,ご存知でしょう 

内容は聞いたことがありますが、HPは知りませんでした。

> か。http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy160622/1606d.htm に,「予算執行調査資料 平成 
> 16年6月22日 主計局」の目次があり,その「19.スクールカウンセラー活用事業(教員研修事業費等補助金)」をクリックするとpdfファイルでダ 
> ウンロードできます。要旨と言えるもので,本文に相当するものは,公表されていませんが,結論を分かり易く言い換えると,「臨床心理士はスクールカウン 
> セラーとして役に立たないので採用しないで,臨床心理士以外の者を採用しなさい」という結論です。
> 
> サンプリング,問題行動の定義,推計学的な処理などの学問的疑問点がありながら,財務省の調査というお墨付きですので,行政的,社会的には,大きな影響 
> があると思われます。
> 
> 例えば,臨床心理士は,医療,教育,司法などの領域横断的な資格であることを主張していますが,教育の領域では有効性が疑われ,領域横断的な資格が崩れ 
> るとか,教育学研究科で臨床心理士を養成している場合,その教育内容に疑問を持たれ,修了生の就職先がなくなるといったことが予想されます。


というか、スクールカウンセラーは常勤職ではないので、就職先とは考えていません。心理の専攻生には、教員、公務員、一般企業を勧めています。非常勤職では学生が可哀想です。

すでに大阪ではスクールカウンセラーは順番待ちで、資格をとっても何年も待たないと成れないらしいです。富山では引く手あまたですが、養成していないためです。しかし、非常勤職のために、臨床心理士対応の大学院を作ることは論外です。

> 
> 日本では,心理療法やカウンセリングの有効性についての実証的な研究がほとんど行われていない点を考えると,この財務省の調査は画期的なものではありま 
> すが,一方ではそれ故に学問的な疑問点が存在するように思われます。この調査が発表されてから,1年近くが経過していますが,臨床系の方たちからのコメントを聞いたことがないので,fprの皆様からの,それぞれのご専門の立場からのご意見を伺えれば幸いです。


血液型人間学の信者さんたちの論理は、

血液は人体の重要な成分であるので、性格に関係するに違いない。
血液型と性格に関係がないと厳密に証明した研究は存在しない。
したがって、血液型と性格には関係がある。

というものです。詭弁です。 

さて、中身を入れ替えてみましょう。

スクールカウンセラーは児童の問題行動に取り組んでいて、効果があるにに違いない。
スクールカウンセラーが問題行動の解決に役立たないと厳密に証明した研究は存在しない。
したがって、スクールカウンセラーは問題行動の解決に役立っている。

これも詭弁です。

臨床心理学を専門とする人たちは心理療法やカウンセリングの有効を積極的に証明すべきでしょう。これは専門家としての義務ですし、そうしないと職域は広がりません。国家資格など夢の夢です。証明がない以上、財務省のような結論に達するのは時間の問題です。

なぜ、こんなことになったかは、丹野さんもかなり以前に指摘しています。日本の臨床心理学は、アセスメントがなく、認知行動療法もなく、実証に基づく治療評価なしと、特色を指摘しています。

私も心理テストについての本は何冊も書き、臨床家はほとんどまともな心理テストを使っていないということに気づきました。人気のあるのは、描画法(特にバウムテスト)、ロールシャッハ、などです。アセスメントツールがないので、治療評価の研究も出来ないのです。論理的必然なので、臨床心理士に未来はないと思っています。一番素晴らしい時代は一〜二年前に過ぎ去ったようです。





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村上宣寛 


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〒930-8555 富山市五福3190
富山大学教育学部学校心理学
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