[fpr 2824] 臨床心理士のスクールカウンセラーとしての有効性について

南風原朝和

fprの皆様

南風原@東大教育心理です。

我妻則明 さんからの引用:

> fprの皆様は,財務省のホームページに,臨床心理士のスクールカウン
> セラーとしての有効性について調査した結果が掲載されているのは,ご
> 存知でしょうか。http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/sy160622/1606d.htm
> に,「予算執行調査資料 平成16年6月22日 主計局」の目次があ
> り,その「19.スクールカウンセラー活用事業(教員研修事業費等補助
> 金)」をクリックするとpdfファイルでダウンロードできます。要旨と言
> えるもので,本文に相当するものは,公表されていませんが,結論を分
> かり易く言い換えると,「臨床心理士はスクールカウンセラーとして役
> に立たないので採用しないで,臨床心理士以外の者を採用しなさい」と
> いう結論です。
> 
> サンプリング,問題行動の定義,推計学的な処理などの学問的疑問点が
> ありながら,財務省の調査というお墨付きですので,行政的,社会的に
> は,大きな影響があると思われます。


だいぶ遅い反応になってしまいましたが,貴重な情報を教えていただき,あり
がとうございました。要旨だけの公表のため,私も我妻さんと同じような疑問
をもちました。そこで,財務省の担当の方にお聞きしたところ,詳しく教えて
いただくことができました。

まず,サンプリング(調査対象)についてですが,都道府県・政令指定都市,
あわせて59自治体に対する全数調査とのことでした。そのうちデータに不備の
あった1自治体を除き,58の自治体を,
(A) 臨床心理士のみを配置する自治体(27自治体)
(B) 臨床心理士に準ずる者を原則通り30%以内で配置する自治体(20自治体)
(C) 臨床心理士に準ずる者を30%以上配置する自治体(11自治体)
の3群に分けて,平成13年度から14年度にかけての問題行動件数の減少率を比
較しています。その結果,配置校における問題行動件数の減少率が,
(A)11.7% < (B)16.8% < (C)30.4% となったということです。

指標として用いられている減少率は,事前の問題行動件数が異なると,その意
味合いも異なってくるので,事前・事後の実数もほしいところですが,そこま
ではお願いしませんでした。なお,「問題行動」の内容については,その調査
で改めて定義することはしていませんが,その前に文部省による調査があっ
て,そこでの説明によって全自治体に共通認識ができているとのことでした。

以上,ご参考までに。

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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp


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