Tomokazu HAEBARA さんは書きました: >まず,サンプリング(調査対象)についてですが,都道府県・政令指定都市, >あわせて59自治体に対する全数調査とのことでした。そのうちデータに不備の >あった1自治体を除き,58の自治体を, >(A) 臨床心理士のみを配置する自治体(27自治体) >(B) 臨床心理士に準ずる者を原則通り30%以内で配置する自治体(20自治体) >(C) 臨床心理士に準ずる者を30%以上配置する自治体(11自治体) >の3群に分けて,平成13年度から14年度にかけての問題行動件数の減少率を比 >較しています。その結果,配置校における問題行動件数の減少率が, >(A)11.7% < (B)16.8% < (C)30.4% となったということです。 > >指標として用いられている減少率は,事前の問題行動件数が異なると,その意 >味合いも異なってくるので,事前・事後の実数もほしいところですが,そこま >ではお願いしませんでした。なお,「問題行動」の内容については,その調査 >で改めて定義することはしていませんが,その前に文部省による調査があっ >て,そこでの説明によって全自治体に共通認識ができているとのことでした。 市川です。これは、批判的思考の問題としては、おもしろいデータですね。 ここから、「臨床心理士はスクールカウンセラーとしてたいして役に立たない。 準ずるものを雇ったほうがいい」という結論を引き出していいか、どんな可能 性がありうるか、さらにどういう分析をしてみるべきか、というのは、大学院入 試問題になりそうです。(臨床心理士の大学院で出すとしゃれになりませんが。) 私は臨床心理士の肩をもつ立場にはありませんが、このデータが一人歩きすると、 ほんとに、臨床心理士のスクールカウンセラーとしての信頼はがた落ちになって しまうでしょうね。適切な反論をするならしたほうがいいし、逆に、詳しい分析 をした結果、さらに強固な結論になってしまうかもしれませんね。(この27、 20、11という自治体の名称がわかれば、重要なヒントになりそうな気がする のですが、それは公表されていないのでしょうか。) ---- 市川伸一 ichikawa (at) educhan.p.u-tokyo.ac.jp
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