[fpr 2861] 研究会案内

繁桝算男

繁桝@駒場です。

研究会の案内です。
SEMで有名なS.Y.Lee教授の講演を10月12日(水)10時から12時まで、東京大学駒場
キャンパス2号館3階の308号室で行います。

講演題目は Computing of Bayes Factor vai Path Sampling for SEMs

あまりたくさんの方がこられるとはとても思えません。気楽に直接上記の部屋へ
来てください。(もちろん、事前に繁桝までお知らせ願えればありがたいですが。)

この講演の主旨を説明します。

伝統的仮説検定が適用上の矛盾を抱えつつ、心理学での主要な方法論となってい
ます。しかし、その基盤は、ロジックではなく、決定問題としての定式化です。
それに対し、ベイズ的アプローチにおけるcounterpartは、確率インダクション
としてのBayes Factorです。

Bayes Factor(ベイズ比と私は訳しましたが、このごろでは、そのままベイズ因
子と訳すことが多いようです。)は、そのほかのベイズ手法と同じく、単純に該
当のモデルを正しいとする確率と関係しているものです。(より正確には、事前
確率を除去した、データの出現確率の比。)

この単純素朴な考え方が普及しない理由は二つ考えられます。
(1)サイエンスにおいて主観的要素は極力排除すべきであるのにBayes Facotorは
主観確率の比である。
(2)計算が困難、あるいは、無理であった。

(1)については、科学哲学などでのinductionについての興味深い議論があります
が、実践的統計家としては、モデル分布と事前分布をともにデータによって推定
するという解決があります。

今回のLee先生の講演は、(2)の解決のためです。ベイズ的アプローチが近年工学
的発想を活かす諸領域で大いに使われ始めた理由は、哲学的な理由よりも数値的
な方法が発達し、実際的な問題解決に役立つことがわかったせいのようです。

今度の講義では、Path SamplingやBridge Samplingなど、MCMC法の最新の発展に
ついて、しかも、SEMとの関連で学ぶことができます。

関心のある方は、是非秋の駒場キャンパスへ来てください。


繁桝算男
(東京大学総合文化研究科生命環境科学系心理学)
tel.03ー5454ー6267
fax.03ー5454ー6979



スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。