[fpr 2913] 判別関数と境界線

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

講義で判別分析を教えていて気づいたのですが、判別分析の境界線のことを判別関数といっている本がありま
す。
テキストに使っている 
小塩真司(2004)『SPSSとAmosによる心理・調査データ解析−因子分析・共分散構造分析まで』東京図書
のp220 の「独立変数を利用して、複数あるカテゴリーを2分する1本の直線を導きだす。この直線を表す関数
を判別関数と呼ぶ。」とあります。この言葉からだけでは曖昧な部分がありますが、図には境界線が引かれてい
ます。

あわてて、チェックのため手近にあった
中谷和夫(1978). 多変量解析 新曜社 p156-157
では切断線を判別関数と推論してしまいます(p156の説明y(x)とp157 図6-3Aの式から言えます)。でも、p158ま
で読めば、切断線は判別関数ではないことがわかります。なんという間違いやすい書き方をしているのだろう。

長浜秀和『多変量解析へのステップ』共立出版出版 (2001)p134
でが境界線(切断線)のことをはっきりと判別関数といってます。図に書いてしまっているので言い逃れはでき
ない。

正しくはっきりわかるのは、
柳井晴夫・高根芳雄 『多変量解析法』朝倉書店(1977)
田中豊・垂水共之編 Windows版統計解析ハンドブック 多変量解析 共立出版(1995)
など。
意外と図が載っていない。
英語版ではとりあえず
Hair et al.(1998). Multivariate data analysis. 5th ed. Prentice-Hall.
にあった。

意外と誤解しやすいのかな。判別得点を考えれば、誤解はそれほどしないはずだが。

ところで、判別分析にJackKnife が使われる。spssでは交差妥当化とかいっている。これって、今の目からみる
と誤判別率の問題というよりも、判別関数の安定性やケースの感度の問題ではないのかな?

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堀 啓造(香川大学経済学部)
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