[fpr 2954] 共分散構造分析のチュートリアル

toyoda (at) waseda.jp

豊田秀樹@早稲田大学です
fprの皆様

共分散構造つながりでちょっと書かせてください.

このMLでも紹介されましたが,先月,東京は成増で,大阪大学の
狩野さんによる共分散構造モデルのチュートリアルがありました.
広い会場にたくさんの聴衆が詰めかけ,相変わらず狩野さんは,話
が上手で有意義な会でした.終了後,狩野さんを含め何人かの人と
お酒を飲みに行きました.その席で,永田靖さんとお話することで
きました(早稲田の先生ですが早稲田で会ったことはありません)
特に狩野さんのM1時代の,あんな話やこんな話が聞けて嬉しかっ
たのですが,中指をこめかみに当てながら永田さんは「学会におけ
る,チュートリアルとは何ぞや.安い参加費のチュートリアルとは
何か!」という主旨の発言をその席で3回ほどなさいました.その
ことが気に係り,自分の答えを見つけるべく,それからずーっと,
(フワフワと)そのことを考えています.

経済的に自律している企業の,たとえばSPSSさん等か,開催す
るチュートリアルの場合はその存在がはっきりしています.つまり,
与えられた時間の中で,想定したレベルの聴衆の理解度をできるだ
け高めるように専門的な立場から教材を提示することに徹するという,
ことです.趣味に走ることなく,薀蓄に偏ることなく,単位時
間あたりの理解度をできるだけ上げるように話をする.講師は演技
者に徹する.いつもは小生もそういうチュートリアルを目指しています.

http://www.spss.co.jp/training/statistics/statistics07.html

だとすると学会のそれとはいったい何でしょう.ハウツー,即戦力,というコン
セプトは上述のチュートリアルのコンセプトと衝突しますので,よく
ないと思います.実は,今回,マーケティング・サイエンス学会で6
月24日13:00-14:50に摂南大学・寝屋川キャンパスにて共分散構造
モデルのチュートリアルをさせてもらいます.

SPSSのものとは180度違って,即戦力になりません.ハウツー
もありません.
具体的には変数の数をうんとしぼって,「因果の方向は,実質科学を
離れてもデータの中に存在しうるのか」というような根本の問題を
まじめに論じてみようと思います.
即戦力にはならないけれど,ハウツーじゃないけれど,まったくの初
心者が聞いても,エキスパートが聞いても学術的に知的興奮を得られ
るようなものが学会のチュートリアルだろうというのが,今回の小生
の結論です.

http://base.econ.osaka-u.ac.jp/~nakajima/jims/jims_idx.htm
http://base.econ.osaka-u.ac.jp/~nakajima/jims/79_060324.htm

参加費は会員は無料です.非会員の方は3千円だそうです(事務局
に確認しました)お時間がありましたら是非いらしてください.


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