[fpr 3004] 「識別不定」を使いましょう

南風原朝和

fprの皆様

南風原@東大教育心理です。

話題が交互に変わって,最適解に至る軌跡と,職務質問からの逃避の軌跡が
入り組んでしまっていますが・・・。

豊田さんの

> 連立方程式    統計モデル   
> A.不能  −> 識別される
> B.解ける −> 識別される(飽和モデル)
> C.不定  −> 識別不定

の図式に関してですが,SEMでの連立方程式は,以下の2つのレベルに分けて
考えることができると思います。

  レベル1:共分散構造に関する方程式

       例:Cov(yj,yk) = Σg βjgβkg

  レベル2:最適化に関する方程式

       例:dL/dβjg = 0

このとき,同一のモデルに関する方程式が,レベル1では(母数の数が方程
式の数より少ないために)不能であるが,レベル2では(必要な制約が欠け
ているために)不定になるという場合があると思います。一方,レベル1で
不定であれば,レベル2でも不定のままです。

豊田さんの図式は,レベル1の方程式に関するもののように思われますが,
モデルが識別できるかどうかは,直接的にはレベル1ではなく,レベル2の
方程式における不定性と対応するのではないでしょうか。

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南風原朝和  haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp


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