豊田さん,fprの皆様 南風原@東大教育心理です。 toyoda (at) waseda.jp さんからの引用: > 「SEMの識別問題とは何だろう」と初学者が正しく理解したり,専門家がまじめに > 考えるためには,ある場所では専門用語として使用し,ある場所では日常用語として > 使用し,混ぜて用いたのではダメで, > 不能:解が1つもない > 不定:解が無数にある(あるいは複数あり,本質的に1つに定まらない) > のように1つの言葉には1つの意味だけを与えるようにすべきです.1つの領域で > 1つの言葉に2つの意味を与えたら思考・理解が阻害されます. 数学の文脈で,単に「不能」「不定」と言えば,これは方程式に関すること であり,上記の意味であることは間違いなく伝わると思います。 いま問題になっているのは「識別」という限定を付けた「識別不能」という 表現です。この表現では,「方程式として不能」と誤解されてしまうという のが豊田さんの主張だと思います。それで,「識別不能」と呼ばれているの は,むしろ「方程式として不定」という状態のことだから,「識別不定」と 呼ぼうという提案だと思います。つまり,方程式特有の用語を,識別問題に もそのまま持ってきて使おうという提案だと思います。 最初に書いたように,それに対して反対ということではありませんが,私は, 識別問題は,根っこは(レベル2の)方程式が不定であるか否かの問題では あっても,「必要な制約条件が欠けているために方程式が不定になり,一意 的な解を得ることができない状態を識別不能という」というように,専門用 語として「識別不能」(その反対は「識別可能」)という言葉を使うことに しても,特に問題は感じないということです。(ちなみに,「識別不定」だ と反対語は何になるでしょうか。) むしろ,岡本さんが指摘されたように,「識別」という言葉自体を,もっと ズバリわかりやすい表現に変えられないか,ということは思います。 ---- 南風原朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp
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