信州大学の高橋知音です。 私は臨床心理士で、一種指定校で臨床関係の授業を担当していますが(もちろんケース も担当しています)、同時に統計の授業(質問紙調査法)を担当しています。博士課程の 副専攻では、研究法・統計学の授業をかなりとりましたが、そのような臨床心理士は 全国的にもかなりレアな存在なのではないかと思っています。 私の場合、心理検査の授業を担当しているので、質問紙法検査の実施・採点・解釈法 に加え、信頼性、妥当性、標準化の観点から、どこまでその検査が「使える」検査な のかということを学生が調べ、討論する授業をしています。最初は、検査を十分に評 価できなかった学生も、並行して受講している統計の授業で信頼性、妥当性、因子分 析などを学習すると、市販の検査であってもいかに問題が多いかということを評価で きるようになります。同時に、統計授業の学習のモチベーションも上がります。 「臨床心理士」の英訳って、"counselor"や"therapist"じゃなくて、clinical "psychologist"じゃないですか。 心理専門職の業務として、心理検査のしめるウエイトが高い現状を考えると、検査結 果の数値を正しく解釈できるスキルも持ったscientistとしての「サイコロジスト」を 育てていく必要があるんじゃないかなぁと思っています。 ------------------------------------- 高橋知音 信州大学教育学部 Tomone Takahashi Shinshu University -------------------------------------
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