あけましておめでとうございます。
豊田さんの意見に、大部分、賛成です。
著作権は基本的に著作者の人格権や利益保護のためにあります(私の基本解釈が間違って
いれば困りますが)。
利益保護に反しない限り、自由に使えるはずです。
> (1)単一の項目表現はだれの許可もなく使用してよい.必要ならば先行研究
> の表現をそっくり真似ることこそが推奨される.
Yes。
ただし、アメリカのMMPI-2などは、単一の文章すらtextに引用する場合、許可がいるよう
です。尺度の解説という点で、出版社の利益を損なう恐れがあるのかもしれません。
> (2)項目表現の一部のあつまりも許可もなく使用してよい.(ふさふさ頭か
> ら 1本毛を抜いても禿ではない.全部毛をぬいたら禿である.しかし何
> 本抜いたら禿かを議論することは不毛だ)しかし一部を真似るならば,
> その部分は,正確に引用して,そっくり真似ることが推奨される.許可
> を得る必要はない.(注1)
研究目的の場合は、利益侵害が生じないので、OKでしょう。
市販されている尺度では、ちょっと難しいかもしれません。「社会通念的に、常識の範囲
内」(これは裁判所が判断)なら良いでしょう。4、5項目でしょうか。全体との関係で判
断せざるをえません。
> (3)意匠やデザインや統計量を伴わない項目表現全部に関しては学会のコン
> センサスが得られていない.覚悟のない人は,尺度全体を無許可では使用
> しないこと.しかし私は(豊田は)「場合によっては無許可で使用してよ
> い.無許可でなければいけない」との信念を持っているので,必要を感じ
> たら無断使用しようと機会をうかがっている.引用はすること.
研究目的の場合は、利益侵害が生じないので、OKでしょう。 「法案Aに..」の場合は
研究目的で、OKと考えます。
市販されていて、使用によって著作権者の利益が損なわれる場合は、難しいでしよう。例
えば、市販されているストレス尺度を使い、無料の解釈サービスをすると、著作権者の利
益が減少します。こういう場合は、自分が利益を得ていなくても著作権侵害で訴えられま
す。私の主要5因子とかエゴグラムなどをネット上で不特定多数の人にサービスしていた
人がいました。出版社は有料の解釈サービスをしていますので、利益が損なわれます。し
たがって、著作権侵害ですと注意し、止めてもらいました。
> (4)意匠・デザイン・尺度化の数値に関しては,使用料を伴う著作権が発生
> するから引用だけでなく,許可が必要である.市販されているならそれを
> 購入して使用する.(注2)
市販されている場合は、著作権侵害の恐れがあります。著作権者によって、態度が違うの
で、許可を取った方が安全でしょう。
私の場合、主要5因子性格検査とかMINI-124などで、会社関係から利用したいという話し
があります。その場合は、適当に使用料を請求します。もぐりで使われると分かりません。
学生や院生から研究目的で利用したいという場合、勝手に複製して使えとメールで返事し
ます。いちいち、許可を取らないで欲しいです。購入しなくても著作権侵害とは見なしま
せん。それより、論文ができたら送って欲しいですね。
> この場合,著者だけの力ではどうにもなりません.その論文を読んで気にいっ
> た人が項目表現をそのままで,いろいろな条件(地域・年齢・統制条件などな
> ど)で実施して論文を書いてくれれば,著者としてむしろ嬉しいのではないで
> しょうか.追試して,結果が食い違えば何故食い違ったのかを議論すればそれ
> も有益です.いまのように「似てはいるけれど,そのままでない」質問紙研究
> をいくら積み重ねても効率が悪いばかりです.だれでも追試できれば,標準化
> 後何十年もほったらかされて,しかも使い続けられるなんてこともなくなりま
> す.だれかに指摘される前に,標準化をやり直そうという気になるからです.
> 著者が金銭的な利益を得ない場合,教育心理学研究に投稿される純粋に学術目
> 的の論文の場合は,意匠やデザインや統計量を伴わない項目表現全部(つまり
> 尺度を構成する尺度構成直前の国語的項目表現全体)を正確な原典引用の下に
> 無許可で使用して何がダメなのでしょう? だれが困るのでしょう? メイキ
> ングをして追試して欲しくない著者くらいしか私には思い浮かびません.「教
> 育心理学」の編集委員会には,是非,何卒,議論の根本的な方向の修正をお願
> いいたします.
教育心理学会にダメな理由を聞いてみても良いかもしれませんね。私は幽霊会員なので、
中身はしりません。
>
> (注1)来年からは,授業中に教育心理学会の今回の改変を,反対意見とともに
> 学生に講義しようと思います.
教育心理学会に異議申し立てをすべきです。
>
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村上宣寛
〒930-8555 富山市五福3190
富山大学人間発達科学部
TEL/FAX 076-445-6367
(2006年度より)
E-mail: murakami (at) edu.u-toyama.ac.jp
HP:http://psycho01.edu.u-toyama.ac.jp/
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