[fpr 3108] 順序尺度の偏りまたは分散

堀啓造

堀@香川大学経済学部です。

名義尺度の分散は情報量という方法があります。順序尺度についてはいい方法があるのでしょうか?

村上さん@富山大学は大昔の論文(1977)のなかで情報量を使用しています。これを使うことにしま
す。
さて、名義尺度の分散のために情報量を求めるプログラムが手近にありません。SPSSに入ってませ
ん。

ということでSPSSマクロとスクリプトを作ってみました。
マクロ
http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/spss/spss.html#frein
# 度数分布表の情報量(分散)script 
http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/spss/spss.html#freins

どれぐらいの数値なのか今は手探り状態です。
平均0分散1の正規乱数を100サンプル(サンプルサイズも100)発生させて、5段階に区切る
と

5段階
     情報量  相対情報量   poinit 
平均      1.86       0.81         3.81
標準偏差  0.36       0.16         0.79

poinit は村上さんの提案した名称で、もとの評定段階数に対応する。もとの評定段階の何段階使っ
ているかを示す。村上さんもいっているようにこの数値がもっともわかりやすい。これを「実質使用
評定段階」とこのプログラムでは言っている。相対情報量については岩原信九郎を参照してくださ
い。5段階評定だと3つの指標ともだいたい正規分布している。7段階だと区切り方が悪いせいかも
しれないがだいぶ歪む。

7段階
     情報量  相対情報量   poinit 
平均      2.31       0.82         5.03
標準偏差  0.25       0.09         0.75

異なる評定段階の比較が平均だと相対情報量、標準偏差だとpoinit がよさそうだ。(あくまで暫定
案)。

リッカート尺度だと、平均が項目によって移動するものと考えられる等もっと複雑に考える必要があ
る。

さて、偏りの問題であるが、
5段階評定の分布の偏りと情報量									
 評定段階数	1	2	3	4	5	情報量	相対情報量 (段階)
1	5	90	2.5	2.5	2.5	2.5	0.67 	0.29 	1.59 
2	5	80	5	5	5	5	1.12 	0.48 	2.18 
3	5	70	7.5	7.5	7.5	7.5	1.48 	0.64 	2.79 
4	5	60	10	10	10	10	1.77 	0.76 	3.41 
5	5	50	12.5	12.5	12.5	12.5	2.00 	0.86 	4.00 
6	5	40	15	15	15	15	2.17 	0.93 	4.50 
7	5	30	17.5	17.5	17.5	17.5	2.28 	0.98 	4.86 

というように第1段階に評定を集め、他の段階を等しくするという操作で見てみると、70%くらいが
許せないのかな。相対情報量0.64となる。7段階評定でもだいたい同じくらいの数値になる。

というような試行錯誤をしてみて、相対情報量0.60〜0.65あたりに切れ目をおいてみたらどうだろ
う。

以前の因子分析挑戦問題
http://wps.ablongman.com/ab_tabachnick_multistats_5
の中のfactor.sav のデータを処理すると、予想されるとおり平均値と情報量に関係がある。平均値
が端っこによっていると情報量が低い。女性のみが評定しているので女性性は情報量が小さく、男性
性は情報量が大きい。当然因子紙分析すれば情報量別のような形になる。このことは、男女別に因子
分析をすべきなのかどうか疑問を生じさせますね。

なお、村上さんのフリーソフトでもヒストグラムがでますが、スペイン発の因子分析フリーソフトで
もヒストグラムがでるようになってます。
http://psico.fcep.urv.es/utilitats/factor/
このスペインのプログラムはMAP,PA で因子数決定ができるなどちょっと面白くなってます。


村上宣寛(1977). 情報量にもとづく層別因子構造の提案 心理学研究, 第47 巻,第6 号, 308-315 
頁 

----
堀 啓造(香川大学経済学部)
home page http://www.ec.kagawa-u.ac.jp/~hori/



スレッド表示 著者別表示 日付順表示 トップページ

ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。