豊田秀樹@早稲田大学です (長文ですから表題に興味の無いかたは破棄してください) fprの皆様 年中行事の趣を呈してきましたが,下記要領で公刊される 早稲田大学心理統計ゼミの春の新作図書の宣伝をさせてください. 書名 :共分散構造分析[Amos編]ー構造方程式モデリングー 出版社 :東京図書 刊行時期:2007年5月GW明けころ 内容 :Amos7(SPSS社さん販売)を使ったSEMの解説, 値段 :3200円 この本は3通りの人のために執筆されています. 1.共分散構造分析の専門家の方,かなり使い込んでいる方 本書はAmos7の(ほぼ)全機能を例題つきで詳述・解説しています. SEMに関して相当な手錬の方にも「えー 知らなかった」という 内容を沢山含んでいます.本当です. 2.共分散構造分析を使ったことがないが,卒論などで緊急に使いたい方 本書は半日かけて第1章を読むだけでAmosを使って 分析ができるように配慮されています.本当です. 「SEMをやってみようか,でも時間が無い」と卒論提出などで 尻に火のついたカチカチ山方面の方に特にお勧めします. 3.共分散構造分析に興味が無い,統計も知らない. それどころか今後も勉強する気も無いという貴方にも 本書はお勧めです.本当です. http://www.waseda.jp/sem-toyoda-lab/ で確認いただけるのですが,表紙が「わたせせいぞう」氏のイラストで なのです.わたせ氏のイラストはステンドグラスのように縁取りが あるので,じつはコンピュータ彩色に向いています.しかしこの絵は 筆でかかれています.原画は色指定をデジタルではできません.このため 東京書籍さんで丁寧に色校正していただき,原画のよさを損なわないように 細心の注意の元に作成しました. この書籍は,かりに内容を1ページも読まなくても,いいのです! 小脇に抱えて大学キャンパスを歩くだけでも元がとれます. 以下内容です. 本書は,共分散構造分析(CSA, Covariance Structure Analysis),あるいは 構造方程式モデリング(SEM, Structural Equation Modeling)と呼ばれる数理 統計的手法を,ソフトウェアAmos (エイモス)を用いて徹底的に使いこなすた めの解説書です. 卒業論文やレポートで共分散構造分析をすると決めた御用とお急ぎの方は,第 1章だけ読んで下さい.本書に登場するデータとプログラムは,東京図書Webサ イト( http://www.tokyo-tosho.co.jp/ )のこの本の紹介ぺージから入手する ことが可能です.そのまま追計算して下さい.第1章の内容だけで,Amosを使 って共分散構造分析ができるようになります.20ページそこその内容ですが SEM の全体像が把握できるはずです. 第2章と第3章は,詳しくAmosを使いこなしたい人向けに用意しました. 第2章 では主にAmosの機能の詳細を示します.第 3章では,共分散構造分析の典型的 なモデルの紹介と適用例を示しました.第3章までで, 標準的な共分散構造分 析の実技は修了します. 第4章から第6章までは発展的なモデルの紹介をします.第4章は多母集団分析 の解説です.多母集団分析は性別や学年や人種や,その他の名義変数によって 区別される複数の母集団から取られたデータを同時に分析する方法です. 第5 章では,平均・共分散構造分析の解説をします.平均・共分散構造分析とは2 次の積率である共分散と1次の積率である平均値を同時に分析する手法で す( これらの手法は第10章で統合され,多母集団の平均・共分散構造分析として論 じられます).第5章では,潜在曲線モデルという成長曲線の分析手法を紹介し ます. 第7章から第9章までは分析をサポートする重要なツールの紹介です.第 7章で は多重代入法について論じます.調査や実験では,完璧にデータが収集できる ことは稀です.多重代入法は欠測値を扱うための方法です.第8章では, ブー トストラップ法を紹介します.ブートストラップ法は統計量の安定度を調べる ために有効な手法です.第9章では,モデル探索を紹介します. 共分散構造モ デルでは,手元のデータに対して様々なモデルを構成することができます.モ デル探索機能は,手元のデータに合わせたモデル構成の手伝いをしてくれます. 第11章から第13章までは,MCMC法 ( Markov Chain Monte Carlo )の紹介です. まず第11章では,事前情報を利用したベイズ推定を論じます.続いて第12章で は,打ち切りデータ ( Censored Data ) を処理します. そして第13章では, ユーザー待望の順序カテゴリカルデータ ( Ordered-categorical Data ) の分 析方法を説明します. 第14章では本書のタイトルにあるAmosではなく,Mplusというソフトウェアの紹 介をします.Mplusは,必ずしも初心者向けのソフトウェアとは言えないのです が,共分散構造分析のソフトウェアの中でも高い機能を誇っています. この章 ではAmosにまだ搭載されていない,名義尺度データの分析・潜在混合分析・ 階 層モデリングの紹介をします.Amosをマスターした人が,次のレベルの勉強す る際の道しるべになれば幸いです. 第15章は我が国で発表された共分散構造分析の優れた応用研究の紹介です. 論 文・レポートの分析を成功させるヒントが散りばめられています. それぞれの 論文は著者の方達が精魂込めて完成させた素晴らしい専門的な研究です. その ため構成概念とそれ等の関係を正確さを優先して紹介しようとすると, 少ない 字数ではどうしても無味乾燥な要約の要約になってしまいます.それでは, 仮 に紹介しても,せっかくの素晴らしい研究の魅力を伝えらることができません. そこで我々は,内容を正確に伝えるのではなく,日 常生活者の視点で大胆にそ の研究の動機や着眼点を紹介しました. 付録では,Amosが算出する適合度指標に関して,具体例に基づく解説を行いまし た.適合度について詳しく調べたくなったときに参照してください.
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。