fprの皆様 南風原@東大教育心理です。 三好さんから提起された問題に関連して,以下,補足します。 コーシー分布(自由度1のt分布)からの標本の平均がコーシー分布に 従う,ということですが,このことは,Nに関係なく成り立ちます。つ まり,この場合,Nを大きくしても,標本平均の分布は正規分布には近 づかないということです。 すると,統計の本に書いてある「Nを大きくしていくと,母集団分布の 種類に関係なく,標本平均の分布が正規分布に近づいていくことが数学 的に証明されています。」という「中心極限定理」と矛盾が出てきます。 これは,後者の記述が厳密な記述でないためであり,正確に書くなら 「母集団分布に関係なく」ではなくて「ごく一部の例外を除き」とする か,中心極限定理が成立するための条件(母集団分散が有限であること) を明記するかすべきところです。 (上記の“統計の本に書いてある”の引用は拙著『心理統計学の基礎』 の110頁。今度,手直しをしておきます。) 南風原朝和 からの引用: > 三好様,fprの皆様 > > 南風原@東大教育心理です。 > > コーシー分布(自由度1のt分布)が下記の性質をもっている > と教わったことがあります。 > > > Hiroto Miyoshi <hiroto_miyoshi (at) nexyzbb.ne.jp> さんからの引用: > > > こんにちは。ちょっと教えてください。 > > 母集団が正規分布の場合、その母集団からの標本の平均も > > 正規分布しますね。同じように、母集団の確率分布とその > > 母集団からの標本平均の確率分布が同じ形である場合が > > 他にも、特例としてあると聞きました。 > > それはどんな場合ですか? > > > > なお、その記述は、「完全独習 統計学入門 小島寛之著 > > ダイヤモンド社」の134ページに「標本平均の分布が、母平均の > > 分布(たぶん「母集団の分布」の誤植)と同じ形のままであると > > いう性質は正規分布と一部特例を除けばほとんど成立しません。」 > > という部分です。 > > > > この特例について教えていただけたらと思います。 > > よろしくお願いします。 > > > > 敬具 > > > > -- > > -------------------------------------- > > Hiroto Miyoshi > > 三好弘人 > > hiroto_miyoshi (at) nexyzbb.ne.jp > > ---- > 南風原朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp ---- 南風原朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp
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