大西弘高@東大医学教育センターと申します. 守先生,皆さま > 負に歪んでいる原因の一つは、問題が易しすぎるために「天井効果」のような現象が起きていることです。 > これには意味があると思います。 > 共同研究者の中学校の先生によると、 > 1年生の初めの中間テストは「生徒たちにいい成績を取らせて自信をつけさせるため」に易しい問題にするのだそうです。 > その結果、中位の生徒もみなかなりの高得点を取ることになり、一部の下位の生徒だけの成績が悪くなります。 > その後のテストではこうした配慮がだんだんなくなってきて、中位の生徒がそれなりの位置に落ち着くことになるわけです。 心理測定の専門家は,出来る限り学生の成績に差が付くような試験を 作った方が,信頼性も高まるし,試験によって得られる情報量が多いと 考えられるようですね.教育専門家の一部はその考えに同調し,残りは 点数の絶対値とか,それによる動機づけとか,絶対評価の意味づけとか 考慮して,同調できないと感じるように思います. なので,単に成績だけを眺めて現象を報告してもあまり意味が無く,その 裏に隠された意味も合わせて読み取れば,色んな意味が見えてくるの かなと感じました. ちなみに,全国の医学部80大学で4年生に実施している診察技法の 実技試験は,トライアル時期でもそれなりに高い平均点,中央値でした. 本格実施になってから,さらに上がり,現状では平均値86.4,中央値 87.5となっています.一部の大学では,60点合否ラインを守っているよう ですが,全国的にみてそれだと0.2%しか不合格にならないようです. 70点に合否ラインを上げても1.8%です(2009年度の共用試験に関する 冊子より).一部には,「医者になるための試験なのに,車の免許の試験 より点数が悪くてどうする」という意見もあるようですが・・・ 大西弘高 東京大学医学教育国際協力研究センター 〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1 医学部総合中央館2F 電話 03-5841-3534 Fax 03-5841-0254 メール onishi-hirotaka (at) umin.ac.jp
ここは心理学研究の基礎メーリングリストに投稿された過去の記事を掲載しているページです。