鈴木です この話はもう仕方ないのではないでしょうか。 いちいち指摘しているときりがない状態です。 昔から深い歴史があるように思います。 私は,林知己夫が用語に無頓着だったことが原因の一部ではないかと思います。 誤解がなければかまわないという印象を受けます。 最近ちくま学芸文庫から「調査の科学」が出ました。 もちろん林は「標本の大きさと言う」としかるべき場所で明記していますが, 別のところでは標本の数とか,標本数と出てきます。むかしは一貫して標本数です。 影響力の大きかった「サムプリング調査はどう行うか」では「サンプル数」です。 「市場調査の計画と実際」でも「サンプル数」なので調査業界の人々はほぼ全員 「サンプル数」というと思います(調査会社の人と会話するときに意識していると分かり ます) 林先生の周辺というか影響のある人の本には標本数,サンプル数というコトバをみつけや すい。あるいは標本の大きさ,サンプルサイズという用語が混在・同居している。 もちろん同居していても両方ともサイズの意味です。 この対極の先輩は浅井晃だと思います。徹底的に区別にこだわって強調している。 林先生は調査対象集団と母集団をあれほどこだわって区別するいっぽう, 標本サイズと標本数を同じ意味で使って,なにも不都合はないという印象です。 私も統計学者か否かが分かれ目なのかと思ったことがありますが 浅井先生のこだわりはデミング(とその訳業)の影響でしょうし・・・。 標準誤差と標準偏差と標本誤差の区別ができないと笑われますが 標本数と使っても笑われない,という相違があるように思います。 蛇足: 「これは母数が大きいからね」ということを耳しますが 「これはパラメータが大きいからね」と言っているわけではない。 母数とは母集団サイズの意味で使われていいのか・・・(いい場合があるが) >石井@名大教育です. > > 自分も過去に書いたもので思いっきり使用してしまってい >るので書きづらいのですが,「標本の大きさ」を意味するも >のとして「標本数」という語を用いている例をよく目にしま >す. > > 「標本数」でも文脈から十分「標本の大きさ」を意味して >いると読み取れますが,母集団から取り出した一部分が標本 >だとすると,「標本数」は,そういう一部分が何個あるか >(標本抽出を何回行ったか)を表す値であるように思います. > > 統計学辞典(1989)東洋経済新報社 のp35rに「(母)集団 >の中から一部を選び出し,選ばれた個体についてのみ調査を >行い,その結果から母集団についての推論を行わざるを得な >い.直接調査の対象となる個体を母集団からの標本という」 >(中略)「n個の個体を標本として選ぶ」というように,母 >集団から抽出したsample(上パラグラフで言うところの標本) >に含まれる個体を「標本」と呼ぶような文献も見つけました >が,すぐ下のところで「大きさ n の無作為標本」と言って >おり,やはり「標本数 n の」とは言ってないです. > > 他の分野のことはともかくとして,統計分析や統計学にお >いては,「標本数」を「標本の大きさ」の意味で用いるのは >正確性に欠けるのではないかなと思いました. > > > > 講義でこの話をしたら,「『被験者数』もダメですか?」 >という質問が出ました.意味的には良しとして,被験者と >いう言い方は最近敬遠されるから,研究参加者数などとな >るのかなと,学生には答えました. > > > >-- >石井秀宗(Hidetoki Ishii) >名古屋大学 大学院教育発達科学研究科 > > > >
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