品質管理では、抜取検査のイメージからか、「サンプル」といえば一塊の複数個体セッ トを想起することが多いのではないかと思います。 「サンプル」が対象個体であるか、抜き取られた複数個体であるかは、そのサンプリン グの思想に依存するところであって、抽象としてはその両方を包含できる概念であっ た方がよいでしょう。 従って、敢えてことばを充てるとすれば吉村さんが仰るとおり、対象個体を言いあら わすことばということでしょう。 マーケティング・リサーチであれは、具体的な対象実態に寄せて「対象者」「対象世 帯」などとするところですが、抽象度を上げるであれば、「対象個体」、「セル」、 などでしょうか。日本語としての「ユニット」には複数個体のセットのニュアンスも ありえますね。 漢字でなければいけないものですか?こういう用語というものは。 岡田浩一 On 11.6.23 8:34 AM, "YOSHIMURA Osamu" <osamu (at) nagasaki-u.ac.jp> wrote: > 吉村宰@長崎大です > > 「母集団から標本を取り出す」という言い方から > 「取り出される個体=標本」とイメージされる傾向があると思います。 > > 標本数とサンプルサイズをうまく使い分けるようにするには > 母集団から取り出される個体の名前を意識的に統一する必要があると思います。 > 「ユニット」の何かよい訳語はないでしょうか? > 「個体」なのかなあ… > > > > On 2011/06/22, at 21:10, Hidetoki Ishii wrote: > >> 石井@名大教育です. >> >> 自分も過去に書いたもので思いっきり使用してしまってい >> るので書きづらいのですが,「標本の大きさ」を意味するも >> のとして「標本数」という語を用いている例をよく目にしま >> す. >> >> 「標本数」でも文脈から十分「標本の大きさ」を意味して >> いると読み取れますが,母集団から取り出した一部分が標本 >> だとすると,「標本数」は,そういう一部分が何個あるか >> (標本抽出を何回行ったか)を表す値であるように思います. >> >> 統計学辞典(1989)東洋経済新報社 のp35rに「(母)集団 >> の中から一部を選び出し,選ばれた個体についてのみ調査を >> 行い,その結果から母集団についての推論を行わざるを得な >> い.直接調査の対象となる個体を母集団からの標本という」 >> (中略)「n個の個体を標本として選ぶ」というように,母 >> 集団から抽出したsample(上パラグラフで言うところの標本) >> に含まれる個体を「標本」と呼ぶような文献も見つけました >> が,すぐ下のところで「大きさ n の無作為標本」と言って >> おり,やはり「標本数 n の」とは言ってないです. >> >> 他の分野のことはともかくとして,統計分析や統計学にお >> いては,「標本数」を「標本の大きさ」の意味で用いるのは >> 正確性に欠けるのではないかなと思いました. >> >> >> >> 講義でこの話をしたら,「『被験者数』もダメですか?」 >> という質問が出ました.意味的には良しとして,被験者と >> いう言い方は最近敬遠されるから,研究参加者数などとな >> るのかなと,学生には答えました. >> >> >> >> -- >> 石井秀宗(Hidetoki Ishii) >> 名古屋大学 大学院教育発達科学研究科 >> >> >> > >
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