弘前大学の麓です。 標本数は一段落したようですが、もう1つ、日頃おかしいと思っている言葉をみなさんがどう説明しているかお聞かせください。 私は統計の専門家ではないのですが、誰もいないので教えています。Σのイメージがわかない学生相手なので、他課程の専門家に任せるわけにもいかず何とかやっていますが、「標本分布」を教えるのに苦労しています。普通に言葉を聞くと標本がどう分布しているかを著す概念のように聞こえますが、「標本収集を無限回繰り返した時の各回の平均値の分布を条件を設定した理論から導いた理論分布」を短くしたのが正解だと思いますが、これで正しいでしょうか。日本語の「標本分布」からはそういうイメージがなかなか浮かばないと思いますが・・・。 Hidetoki Ishii <z47783a (at) cc.nagoya-u.ac.jp>さん: > 石井@名大教育です. > > 自分も過去に書いたもので思いっきり使用してしまってい > るので書きづらいのですが,「標本の大きさ」を意味するも > のとして「標本数」という語を用いている例をよく目にしま > す. > > 「標本数」でも文脈から十分「標本の大きさ」を意味して > いると読み取れますが,母集団から取り出した一部分が標本 > だとすると,「標本数」は,そういう一部分が何個あるか > (標本抽出を何回行ったか)を表す値であるように思います. > > 統計学辞典(1989)東洋経済新報社 のp35rに「(母)集団 > の中から一部を選び出し,選ばれた個体についてのみ調査を > 行い,その結果から母集団についての推論を行わざるを得な > い.直接調査の対象となる個体を母集団からの標本という」 > (中略)「n個の個体を標本として選ぶ」というように,母 > 集団から抽出したsample(上パラグラフで言うところの標本) > に含まれる個体を「標本」と呼ぶような文献も見つけました > が,すぐ下のところで「大きさ n の無作為標本」と言って > おり,やはり「標本数 n の」とは言ってないです. > > 他の分野のことはともかくとして,統計分析や統計学にお > いては,「標本数」を「標本の大きさ」の意味で用いるのは > 正確性に欠けるのではないかなと思いました. > > > > 講義でこの話をしたら,「『被験者数』もダメですか?」 > という質問が出ました.意味的には良しとして,被験者と > いう言い方は最近敬遠されるから,研究参加者数などとな > るのかなと,学生には答えました. > > > > -- > 石井秀宗(Hidetoki Ishii) > 名古屋大学 大学院教育発達科学研究科 > >
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