fprの皆様 ひとつ前の記事で,石井さんが 「ΔR^2=ある説明変数を抜いたときの決定係数の差分」 と書いておられたので思い出したのですが,だいぶ前(2006年)に 堀さんと,partial η2 についてやりとりをしたことがありました。 http://mat.isc.chubu.ac.jp/fpr/fpr2006/0096.html そこでは,「偏イータ」は日本語として美しくないので,「偏相関比」 が良いのでは,と書きましたが,partila η2 だと「偏相関比の2乗」 と言わなくてはならず,長くなるのが欠点です。 (「偏相関比」という言葉は,岩原信九郎『新訂版 教育と心理の ための推計学』の401頁にもあります。) partial η2 という指標は, 「ある変数をモデルに追加することによって,追加前の残差分散が何%減少したか」 を表すものであり,また 「追加前の変数の影響を除いたときの,追加変数と従属変数との偏相関の2乗」 だと理解しています。 これは分散分析の文脈だとpartila η2 と呼ばれていますが,上記のことは 重回帰分析でもまったく同様なので,それに合わせると,重回帰分析では partial R2 となります。そして,partial η2を「偏イータ2乗」と呼ぶなら partial R2 は「偏アール2乗」と呼ぶことになりますが,統計的には同じ2つ のものに(日本語として美しくない)名称をそれぞれに付けるよりは, 「偏決定係数」で統一するのが良いのではないかと思ったところです。 相関の2乗が決定係数で,偏相関の2乗が偏決定係数,ということで自然かと思います。 実際,検索してみると,「偏決定係数」という日本語も “coefficient of partial determination”という英語も,すでに使われています。 (「偏アール2乗」は,まだないようです…。今後もないほうがいいです。 “partial R2”は使われています。短くて便利なので,これからも使われるでしょう。) ---- 南風原朝和 haebara (at) p.u-tokyo.ac.jp
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