豊田秀樹@早稲田心理です 以前は、何となく思いついたことを投稿できたfprだったが、 最近のfprはしっかりした内容の広報の投稿が多くなった。 それもいいけれど、ちょっとさみしいので GWだし(書かなきゃいけない原稿からの逃避でもあるが) 雑談を書いてみる。はじめて分散分析を習う学生に多要因を イメージさせる教材(たとえ話)をひとつ。 蕎麦を食うときにつゆはどれほどつけるか。 「蕎麦は、さらさらとたぐり、蕎麦の先に、 ほんの一寸か二寸、つゆをつけてたぐり込む。 そうしなければ、蕎麦の香りが判らねえ。」 と言っていた江戸っ子が、死ぬ前に「 一度、つゆをたっぷりつけて 蕎麦を食べたかった」という落語(そば清・枕)がある。 ほんの一寸つけたほうが、美味しいのか? 真の蕎麦好きは、そうは言わない。 つゆをつける長さを特性値(基準変数)とすると、 それは、3つの要因(因子・予測変数)の 分散分析モデルで説明できる。 3つの要因とは「(つゆの)濃さ」「(蕎麦の)テクスチャ」 「(食べるまでの)時間」である。 水準を2つにして説明する。 「藪蕎麦」のような濃いつゆには少し、 「砂場」のような薄いつゆには多めに 挽きぐるみのような粗いテクスチャの蕎麦には少し、 更科のようなきめ細かいテクスチャの蕎麦には多めに、 酒を飲んだり出前でとったりで時間がたっている場合には少し、 出来立てでザルから水が出てるような場合は多めにつけるのが 美味しい。主効果だけ知ってても、間違いなく美味しく食える。 「本当の蕎麦の味を知っている江戸っ子は、この3つ要因(の主効果 と交互作用?)を判断して、蕎麦につけるつゆの量を瞬時に最適化して 食っている。」 と説明すると、感心しているか呆れているかは知らないが、 たいていの学生は、分散分析の3元配置を理解してくれる。 ちなみに、もり蕎麦の量(g)と値段(円)を調べて、店名の散布図を描くと 見事に無相関となり、これも味わい深く、 蕎麦は相関係数の教材にもなるが、 (芥川隆行のナレーションの声で)それは次回の講釈にて よいGWを -- ------------------------------------------------------------------------------ TOYODA Hideki Ph.D., Professor, Department of Psychology TEL +81-3-5286-3567 School of Humanities and Social Sciences, Waseda University toyoda _atmark_ waseda.jp 1-24-1 Toyama Shinjyuku-ku, Tokyo 162-8644 Japan http://www.waseda.jp/sem-toyoda-lab/ ------------------------------------------------------------------------------
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